『ランディ・ローズ』から『ビージーズ』まで──この冬注目の伝記音楽映画4選

2022年冬、注目の伝記音楽映画4選

没後40年、オジー・オズボーン・バンドの初代ギタリストとして知られるランディ・ローズのドキュメンタリー映画『ランディ・ローズ』の11月11日公開が話題となっています。これは『ボヘミアン・ラプソディ』や『アリー スター誕生』など実話ベースの音楽映画がヒットしていることと無縁ではないでしょう。

 

コロナ禍もいちおうの落ち着きを取り戻したいま、劇場へ足を運ぼうという人が誰もが知る有名曲をフックに作品を選んでいることもあるでしょう。

 

今回は、そんなオススメの新作音楽映画4選を紹介します。

『ランディ・ローズ』 11/11(金)公開

80年代、端正なルックスと華麗なるギタープレイで世界を魅了した天才ギタリスト、ランディ・ローズ。しかし自身のバンド、クワイエット・ライオットでのプロデビューは日本のみ、全米デビューは果たせずにいました。

 

そんな折、オジー・オズボーン・バンドへの抜擢で転機が。“闇の帝王”オジーと“天使”のランディという相反する個性のぶつかり合いが、極上の化学反応を巻き起こします。刺激的でキャッチ―なギターリフは時にオジーのヴォーカル以上に耳に記憶され、哀愁を帯びたギターソロは、無駄な音は一音も無い完璧なフレージングで聴く者の心を鷲掴み。一躍、ギターヒーローとなりました。

しかしそんな人気絶頂期の全米ツアー中に、突然の悲劇が...。一人のギター少年がロックスターへと昇華する瞬間、そして悲劇的な最期までを克明に捉えた、全音楽 ファン必見の傑作ドキュメンタリー。

©RANDY RHOADS: LEGEND, LLC 2022
©RANDY RHOADS: LEGEND, LLC 2022

『クリエイション・ストーリーズ 世界の音楽シーンを塗り替えた男』 10/21(金)公開

スコットランドで生まれ育った青年アランは、ロックスターになることを夢見ていたが、保守的な父親とぶつかってばかり。しかしアランは、地元の友人とロンドンに飛び、仲間とクリエイション・レコーズを設立します。

 

出たとこまかせのレーベル運営はトラブル続きでしたが、アランは宣伝の才能を発揮。次々と人気バンドを送り出し、クリエイションはイギリスを代表するレーベルに成長します。

 

しかし、レーベル運営のプレッシャーや家庭問題から、次第にアランは精神的に追い詰められ…。

「プライマル・スクリーム」「ジーザス&メリーチェイン」「オアシス」などを見出し、世界 No1のインディ・レーベルに上り詰めたクリエイション・レコーズの創設者アラン・マッギーの波乱万丈な半生を、製作総指揮に『トレインスポッティング』のダニー・ボイルを迎え映画化しました。

『ソングス・フォー・ドレラ』 10/28(金)公開

アンディ・ウォーホルとルー・リードの化学反応から生まれた伝説的な元祖アングラロックの旗手、ヴェルヴェッ ト・アンダーグラウンド。その両雄、ルー・リードとジョン・ケイルが1968年の決別以来21年ぶりに共演した無観客ライヴの記録映画です。

 

このライヴは、彼らにとって圧倒的なメンターであり愛憎ともなう友人ウォーホル追悼のために行ったもので、ウォーホルの死後3年近くを経て開催されました。

ウォーホル、リード、ケイル三者の悔恨と情愛が極限で交錯したライヴパフォーマンスは、唯一無二。シンプルなカメラワークで記録したのは、『エデンより彼方 に』と『キャロル』でアカデミー賞撮影賞ノミネートの名匠エドワード・ラックマン。トッド・ヘインズ監督『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド』(2021)の撮影を進める過程で発見し、オリジナル16㎜ネガから4Kで復元しました。

『ビー・ジーズ 栄光の軌跡』 11/25(金)公開

英国出身のバリー・ギブと、3歳下の双子の弟たち=ロビン・ギブとモーリス・ギブのギブ兄弟によって結成された「ビー・ジーズ」。本作品は、映画『サタデー・ナイト・フィーバー』をはじめ数多くの全米No1曲を持ち、全世界2億2000万枚以上のセールスを記録する彼らの軌跡を辿るドキュメンタリーです。

(C)2020 Polygram Entertainment,LLC-All Rights Reserved.
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貴重な写真や未公開のムービーを駆使して名曲誕生の瞬間を体験できる臨場感あふれる構成が魅力。それと同時に、単なるサクセスストーリーにとどまらず、時代の寵児として疾走したビー・ジーズを襲った逆風と現在へと続く偏見の萌芽を、ひとつの時代の終わりを告げるエピソードとともに描く人間物語でもあります。

 

そんな嵐の中をどう生き延びたのか...これは成長物語であり、兄弟愛の物語。