有名作から隠れた名作まで、大映映画一挙47作品が4K上映!

『大映4K映画祭』『Road to the Masterpieces』23年1月開催決定!

大映映画から選りすぐった作品を4K化して上映する『大映4K映画祭』が、来年23年1月20日より実施されることが発表されました。あわせて特別版ポスター5種も公開されました。

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目玉となるのは、4K版初披露となる8作品。増村保造監督・若尾文子主演『赤い天使』、吉村公三郎監督・山本富士子主演『夜の河』、三隅研次監督・市川雷蔵主演『斬る』『剣⻤』『剣』『大菩薩峠』シリーズです。

 

また連動企画として、『Road to the Masterpieces』と題した映画祭も1月6日(金)より角川シネマ有楽町で開催されます。

 

こちらは、海外映画祭での受賞歴や定番の人気作品としていち早く4K化された作品とは別に、高い評価を得ている秀作・快作から、知る人ぞ知る良作・怪作をピックアップしたもの。大映映画に通底するその高い技術力に裏打ちされた映画的魅力に溢れた作品群です。

 

特別版ポスターは、京マチ子に「気高い孤高の女」、市川雷蔵に「美しさを極めた男」、山本富士子に「しなやかで媚びない女」、若尾文子に「変幻自在な禁断の女」、勝新太郎に「豪快で繊細な男」といった洒脱なキャッチコピーが添えられた新装版。11月1日より発売されるムビチケオンライン券の特典の待ち受け画像にもなります。『サマーフィルムにのって』の主人公ハダシのような若い人たちの胸を掴むかも⁉

大映 4K 映画祭【上映作品】

『赤い天使』 4K版初披露(1966 年/モノクロ/95 分/スコープ)

監督:増村保造 原作:有馬頼義 脚本:笠原良三 撮影:小林節雄 美術:下河原友雄 音楽:池野成 出演:若尾文子、芦田伸介、川津祐介

 

その女は白衣の天使か娼婦か?生死渦巻く戦地の果ての真実の愛。野戦病院を舞台に従軍看護師のさくら(若尾)は傷ついた兵士や軍医に深い愛を注ぐ―。鋭く重みのあるリアリズムを基調とし、過激描写も厭わない徹底した増村の演出が、戦争の暗部を抉り出す屈指の問題作。 

 

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『夜の河』 4K版 初披露(1956 年/カラー/104 分/スタンダード)

監督:吉村公三郎 原作:沢野久雄 脚本:田中澄江 撮影:宮川一夫 美術:内藤昭 音楽:池野成 出演:山本富士子、上原謙、小野道子、阿井美千子、川崎敬三

 

恋か仕事か、それとも―女心の機微を描いた傑作ラブストーリー。老舗京染屋の長女で、染物職人のきわ(山本)は新しい感性で手腕を発揮し評判に。ある日彼女は大学教授の竹村(上原)と出会い恋に落ちるが、男には娘と病床に伏す妻が…。キネマ旬報ベストテン第2位。 

 

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『刺青』 4K版 (1966 年/カラー/86 分/スコープ)

監督:増村保造 原作:谷崎潤一郎 脚本:新藤兼人 撮影:宮川一夫 美術:西岡善信 音楽:鏑木創 出演:若尾文子、長谷川明男、山本学、佐藤慶

 

男の魂を吸う肌を持つ悪女-文豪・谷崎潤一郎原作の傑作ドラマ。『卍』に続き谷崎文学を増村保造が映画化。質屋の娘・お艶(若尾)は使用人と駆け落ちし、背中に女郎蜘蛛の刺青を入れ魔性の女へ...。悪女に潜む冷たさと妖艶さを絢爛たるエロチシズムで描く必見の傑作。 

 

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『浮草』 4K版 (1959 年/カラー/119 分/スタンダード)

監督・脚本:小津安二郎 脚本:野田高梧 撮影:宮川一夫 美術:下河原友雄 音楽:斉藤高順 出演:中村鴈治郎、京マチ子、若尾文子、川口浩、杉村春子、野添ひとみ、笠智衆 

 

人間の美しさを溢れる詩情で謳いあげ、人生の真実を描く感動巨篇。志摩半島の漁村を舞台に、旅回り一座の座長(中村)とその恋人(京)、劇団員(若尾)、飯屋の母子(杉村・川口)など様々な人間が織りなす心の交流と人生の真実を格調高く描いた感動作。巨匠・小津安二郎唯一の大映作品。 

 

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『女は二度生まれる』 4K版(1961年/カラー/99 分/スコープ)

監督・脚本:川島雄三 原作:富田常雄(「小えん日記」より) 脚本:井手俊郎 撮影:村井博 美術:井上章 音楽:池野成 出演:若尾文子、フランキー堺、藤巻潤、山村聰、菅原通済、山茶花究、江波杏子

 

本能のまま行動する芸者が初めて知った本当の女の幸せとは?無知で無欲、唄や踊りも苦手な芸者・小えん(若尾)は、明るさと色気を武器に気ままな生活を送っていました。そんな彼女が見つけた“自分らしい”生き方とは?大映初となる名匠・川島が軽妙なタッチで描く傑作。 

 

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『雁の寺』4K版(1962 年/パートカラー/98 分/スコープ)

監督・脚本:川島雄三 原作:水上勉 脚本:舟橋和郎 撮影:村井博 美術:西岡善信 音楽:池野成 出演:若尾文子、三島雅夫、木村功、高見国一、中村鴈治郎 

 

妖しく美しい女をめぐる異常な人間関係を追求した異色の文芸大作。文豪・水上勉の同名小説を川島雄三が映画化。禅寺で住職と愛人が繰り広げる禁断の愛欲と、それを見つめる少年僧の復讐を描いた衝撃の問題作。主演・若尾文子の義兄である名カメラマン村井博が撮影を担当しています。 

 

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『近松物語』 4K版(1954 年/モノクロ/102 分/スタンダード)

監督:溝口健二 原作:近松門左衛門(「大経師昔暦」より) 劇化:川口松太郎(「おさん茂兵衛」) 脚本:依田義賢 撮影:宮川一夫 美術:水谷 浩 音楽:早坂文雄

出演:長谷川一夫、香川京子、南田洋子、進藤英太郎、小澤榮(小沢栄太郎) 

 

愛に生きる男女が運命と闘う!逃避行ラブ・ロマンスの名作。近松門左衛門の人形浄瑠璃を巨匠・溝口健二が映画化。不義密通と誤解された男女が真実の愛に気付き覚悟するまでの姿を現代的なスピード感で描きます。キャスト、撮影、美術など全てが比類ない完成度に満ちた必見の名作。 

 

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『薄桜記』 4K版(1959 年/カラー/110 分/スコープ)

監督:森一生 原作:五味康祐 脚本:伊藤大輔 撮影:本多省三 美術:太田誠一 音楽:斎藤一郎 出演:市川雷蔵、勝新太郎、真城千都世、三田登喜子、北原義郎、島田竜三 

 

雷蔵×勝新競演で剣士の友情と悲恋を描く、掛け値なしの傑作。道場を破門になった典膳(雷蔵)と安兵衛(勝)は偶然に翻弄され、流転の運命を辿る、雷蔵の代表作の一本で、大映時代劇の到達点。降りしきる雪が血に染まる壮絶なラスト、愛に生きる雷蔵の美しさは特に必見。 

 

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『斬る』 4K版 初披露(1962 年/カラー/71 分/スコープ)

監督:三隅研次 原作:柴田錬三郎 脚本:新藤兼人 撮影:本多省三 美術:内藤昭 音楽:斎藤一郎 出演:市川雷蔵、藤村志保、渚まゆみ、万里昌代、浅野進治郎、天知茂 

 

薄幸の美剣士が辿る数奇な運命とは?雷蔵時代劇の代表作。高倉信吾(雷蔵)は3年の武者修行から戻ってすぐ養父と義妹(渚)が斬殺される。養父の死に際、自身の出生の秘密を聞かされ...。のちに「剣三部作」となる三隅×雷蔵コンビの最初の作品で、雷蔵時代劇の頂点のひとつ。 

 

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『大菩薩峠』 4K版 初披露(1960 年/カラー/105 分/スコープ)

監督:三隅研次 原作:中里介山 脚本:衣笠貞之助 撮影:今井ひろし 美術:内藤昭 音楽:鈴木静一 出演:市川雷蔵、山本富士子、本郷功次郎、中村玉緒、菅原謙二、根上淳、笠智衆 

 

大ヒットを記録しシリーズ化!時代劇の醍醐味が満載の傑作。中里介山が創出した稀代のヒーロー・机龍之助(雷蔵)を、脚本衣笠貞之助、監督に三隅研次を迎え描く傑作時代劇。眠狂四郎シリーズの先駆けとも言えるそのヒーロー像は、雷蔵時代劇の中でも屈指の虚無さを醸し出す。 

 

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『剣鬼』 4K版 初披露(1965 年/カラー/83 分/スコープ)

監督:三隅研次 原作:柴田錬三郎 脚本:星川清司 撮影:牧浦地志 美術:下石坂成典 音楽:鏑木創 出演:市川雷蔵、姿美千子、佐藤慶、五味龍太郎、睦五郎、戸浦六宏 

 

不幸な出生を持ち、数奇な運命を辿る刺客を描く傑作時代劇。狂四郎シリーズの柴田錬三郎の同名小説を映画化。花造りの名人で健脚、人斬りの名手という個性的なヒーロー・斑平(雷蔵)の数奇な運命を描きます。主人公が乗り移ったかのような映画ラストの殺陣シーンは必見。 

 

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『座頭市物語』 4K版 (1962 年/モノクロ/96 分/スコープ)

監督:三隅研次 原作:子母沢寛 脚本:犬塚稔 撮影:牧浦地志 美術:内藤昭 音楽:伊福部昭 出演:勝新太郎、万里昌代、島田竜三、三田村元、天知茂

 

一世を風靡した伝説の大ヒットシリーズ記念すべき第1作。坊主頭、盲目にして居合い抜きの達人という従来にない強烈なキャラクターと、役柄が憑依したような勝新太郎の強烈なパーソナリティが相まって大ヒットしたシリーズ第1作。共演した天知茂のニヒルな個性も見所。

 

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『大菩薩峠 竜神の巻』 4K 版 初披露(1960 年/カラー/90 分/スコープ)

監督:三隅研次 原作:中里介山 脚本:衣笠貞之助 撮影:今井ひろし 美術:内藤昭 音楽:斎藤一郎 出演:市川雷蔵、山本富士子、本郷功次郎、中村玉緒、近藤美恵子 

 

第一作の大ヒットを受けてお正月映画として公開された続編。前作で新選組に所属した龍之助(雷蔵)だが、本作では天誅組に加わります。両眼を失い、ますます凄みと殺気を漂わす音無しの構え。物語の後半、盲目になった龍之助がさらに虚無へ落ちていき壮絶に輝く姿も必見。 

 

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『大菩薩峠 完結篇』 4K 版 初披露 (1961 年/カラー/98 分/スコープ)

監督:森一生 原作:中里介山 脚本:衣笠貞之助 撮影:本多省三 美術:西岡善信 音楽:塚原晢夫 出演:市川雷蔵、本郷功次郎、中村玉緒、小林勝彦 

 

監督を三隅から森一生にバトンタッチし製作されたシリーズ完結篇。狂気の度を深め、殺人鬼となりながらも我が子を恋い慕うことの悲しさを内包しているという難役を、雷蔵がひたすら悲痛に、そして妖しく演じます。心眼冴える龍之助(雷蔵)の魔剣と兵馬(本郷)の正剣の対決の行方は? 

 

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『大魔神』 4K版 (1966 年/カラー/84 分/スコープ)

監督:安田公義 脚本:吉田哲郎 撮影:森田富士郎 美術:内藤昭 音楽:伊福部昭 特撮監督:黒田義之 出演:高田美和、青山良彦、藤巻潤、五味龍太郎、島田竜三

 

特撮時代劇に新しい可能性を開いた大映特撮の最高峰。戦国時代、領主の父を殺された兄妹(青山・高田)は、忠臣と共に武神像のある神の山へ。この武神像には、領内に災いがあればそれを防いでくれるという伝説がありました。特撮時代劇に新しい可能性を開いた傑作。

 

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『大魔神怒る』 4K版 (1966 年/カラー/79 分/スコープ)

監督:三隅研次 脚本:吉田哲郎 撮影:森田富士郎 美術:内藤昭 音楽:伊福部昭 特撮監督:黒田義之 出演:本郷功次郎、藤村志保、丸井太郎、内田朝雄、神田隆

 

驚異の大魔神ふたたび!大ヒットシリーズ第2弾。武神像をまつる島が中ほどにある湖。東に名越、西に千草一族が平和に暮らしており、湖には武神像が守り神としてまつられていた。千草領の城主(本郷)と許嫁の早百合(藤村)は敵に攻められ処刑されそうになり...。

 

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『大魔神逆襲』 4K版 (1966 年/カラー/88 分/スコープ)

監督:森一生 脚本:吉田哲郎 撮影:今井ひろし、森田富士郎 美術:西岡善信、加藤茂 音楽:伊福部昭 特撮監督:黒田 義之 出演:二宮秀樹、飯塚真英、堀井晋次、長友宗之、山下洵一郎

 

大魔神が腰の宝刀を初めて使う、大魔神シリーズ最終作。硫黄のたぎる地獄谷で武器作りの強制労働をさせられている父や兄を救うため、少年たちは禁じられている魔神の山を越えて地獄谷に向かう決意をします。雪山を舞台に雪を自在に操った幻想的な特撮描写も見所。

 

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『雪之丞変化』 4K版 (1963 年/カラー/114 分/スコープ)

監督:市川崑 原作:三上於莵吉 脚色:伊藤大輔、衣笠貞之助 シナリオ:和田夏十 撮影:小林節雄 美術:西岡善信 音楽:芥川也寸志、八木正生 出演:長谷川一夫、山本富士子、若尾文子、市川雷蔵、勝新太郎、船越英二 

 

大映スター総出演!モダンで斬新な豪華絢爛な時代劇の傑作。没後に俳優初の国民栄誉賞を受賞した大スター・長谷川一夫の300本記念作品。計算し尽された様式美で描く恋と復讐の物語。ジャズを使用した音楽や効果音など細部に至るまでオリジナリティに富んだ必見の傑作。 

 

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『剣』 4K版 初披露 (1964 年/モノクロ/95 分/スコープ)

監督:三隅研次 原作:三島由紀夫 脚本:舟橋和郎 撮影:牧浦地志 美術:内藤昭 音楽:池野成 出演:市川雷蔵、藤由紀子、川津祐介、長谷川明男 

 

剣に賭ける青年を描く、名匠・三隅の格調高い演出が光る傑作現代劇。三島由紀夫の短編小説を雷蔵自ら映画化を企画。生涯の全てを剣道一筋に賭ける青年・国分次郎を唯一無二の存在感で演じます。究極まで“今”を生きるその生き様と死を選ぶほどの純粋さが畏敬の念すら抱かせます。 

 

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『無法松の一生』 4K版

<併映>短編ドキュメント『ウィール・オブ・フェイト~映画『無法松の一生』をめぐる数奇な運命~」 (1943 年/モノクロ/80 分/スタンダード)※短編 19 分/2K 上映

 

監督:稲垣浩 原作:岩下俊作 脚本:伊丹万作 撮影:宮川一夫 美術:角井平吉 音楽:西梧郎

出演: 阪東妻三郎、月形龍之介、永田靖、園井恵子、沢村アキオ、杉狂児 

 

日本映画史上最大のスター・阪東妻三郎主演の感動の名作。九州小倉の名物男・松五郎、通称・無法松は、陸軍大尉・吉岡小太郎の息子を偶然助け、以降一家と交流を深めます。小太郎死後も無法松は母子に献身的に尽くすも...。名匠・稲垣浩の最高傑作で日本映画史に燦然と輝く名作。 

 

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『赤線地帯』 4K版 (1956 年/モノクロ/86 分/スタンダード)

監督:溝口健二 脚本:成澤昌茂(篇中一部分、芝木好子「洲崎の女」より) 撮影:宮川一夫 美術:水谷浩 音楽:黛敏郎 出演:京マチ子、若尾文子、木暮実千代、三益愛子、菅原謙二 

 

自分を「売る」女たちを描いた、超豪華女優陣競演の傑作群像劇。巨匠・溝口健二の遺作にして真骨頂ともいうべき傑作。様々な事情を抱え、公認の売春地域(赤線)に生きる女たちの生き様を生々しくリアルに描いた悲喜劇。戦後を代表する音楽家・黛敏郎による音楽にも注目です。 

 

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『雨月物語』 4K版 (1953 年/モノクロ/97 分/スタンダード)

監督:溝口健二 原作:上田秋成 脚本:川口松太郎 依田義賢 撮影:宮川一夫 美術:伊藤熹朔 音楽:早坂文雄 出演:京マチ子、水戸光子、田中絹代、森雅之、小澤榮(小沢栄太郎)

 

圧巻の映像美で日本映画史に語り継がれる、巨匠・溝口健二の名作。上田秋成の短篇集をもとに映画化。戦乱時町に出た焼き物師(森)が姫君(京)の屋敷に招かれるが、実は彼女は...。ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞受賞。世界の映像作家に影響を与えた名シーンが続出する世界的傑作。 

 

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『炎上』 4K版 (1958 年/モノクロ/99 分/スコープ)

監督:市川崑 原作:三島由紀夫(「金閣寺」より) 脚本:和田夏十、長谷部慶治 撮影:宮川一夫 美術:西岡善信 音楽: 黛敏郎 出演:市川雷蔵、中村鴈治郎、仲代達矢、新珠三千代、浦路洋子、中村玉緒 

 

雷蔵が初の現代劇として市川崑×宮川一夫のコンビで挑んだ意欲作。文豪・三島由紀夫の「金閣寺」を映画化。吃音症の青年僧が国宝寺院に放火するに至るまでの揺れる感情を入念に描きます。ラストの幻想的な炎上シーンは映像美の極致。雷蔵は本作での演技が高く評価され数々の賞に輝きました。 

 

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『おとうと』 4K版 (1960 年/カラー/98 分/スコープ)

監督:市川崑 原作:幸田文 脚本:水木洋子 撮影:宮川一夫 美術:下河原友雄 音楽:芥川也寸志 出演:岸惠子、川口浩、田中絹代、森雅之 

 

人間の孤独と家族の愛の形を巨匠・市川崑が描く日本映画の至宝。家族の再生と姉弟(岸・川口)の魂の交流を描いた、日本映画史に燦然と輝く傑作。キネマ旬報ベストテン第1位など、各映画賞を独占。「銀残し」と呼ばれる特殊な現像処理を施した淡彩映像は海外でも高く評価されました。

 

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『山椒大夫』 4K版 (1954 年/モノクロ/124 分/スタンダード)

監督:溝口健二 原作:森鷗外 脚本:八尋不二 依田義賢 撮影:宮川一夫 美術:伊藤熹朔 音楽:早坂文雄 出演:田中絹代 花柳喜章 香川京子 

 

奴隷社会の犠牲となった家族の絆…そして感涙必至のクライマックス。森鴎外の同名小説を映画化、ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞に輝いた文芸大作。山椒大夫にさらわれた兄妹が、生き別れた母親との再会を夢見るも...。女性の美しさを完璧に描いた巨匠・溝口健二後期の代表作。 

 

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『しとやかな獣』 4K版 (1962 年/カラー/96 分/スコープ)

監督:川島雄三 原作・脚本:新藤兼人 撮影:宗川信夫 美術:柴田篤二 音楽:池野成 出演:若尾文子、船越英二、浜田ゆう子、伊藤雄之助、山岡久乃 

 

金と欲にまみれる悪人たちの攻防を描く衝撃のブラック・コメディ。詐欺まがいの手法で荒稼ぎする団地住まいの一家の前に現れた最大の強敵とは?幸枝(若尾)は男たちを騙し、次々と金を巻き上げていきます。川島×新藤の会話劇と映像美が冴えわたります。 

 

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『羅生門』 4K版 (1950 年/モノクロ/88 分/スタンダード)

監督・脚本:黒澤明 原作:芥川龍之介(「藪の中」より) 脚本:橋本忍 撮影:宮川一夫 美術:松山崇 音楽:早坂文雄 出演:三船敏郎、京マチ子、志村喬、森雅之、千秋実、加東大介 

 

巨匠・黒澤明監督が描く、映画史上に燦然と輝く日本映画の至宝。旅法師と柚売りが通りすがりの下人に不思議な話を語り始めます。盗賊が森で女を犯し、その夫を殺害したが、各々が語る証言は異なって…。米アカデミー賞名誉賞(最優秀外国語映画賞)、ヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞。豪華キャストによる演技にも注目。 

 

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『流転の王妃』 4K版 (1960 年/カラー/102 分/スコープ)

監督:田中絹代 原作:愛新覚羅浩 脚本:和田夏十 撮影:渡辺公夫 美術:間野重雄 音楽:木下忠司 出演:京マチ子、船越英二、金田一敦子、東山千栄子、沢村貞子、笠智衆 

 

海を渡り結婚した女性の苦難と美しい夫婦愛を描く感動の文芸大作。大反響を呼んだ愛新覚羅浩の原作「涙のベストセラー」を、脚本・和田夏十、監督に田中絹代、京マチ子が主演と豪華女性陣で描く文芸巨編。国際結婚をした女性の、愛に包まれながらも苦難に満ちた生涯を描く感動大作。 

 

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大映創立 80 周年記念映画祭『Road to the Masterpieces』

『夜光る顔』(1946 年/モノクロ/72 分/スタンダード)初デジタル上映

監督:久松静児 原作:菊田一夫 脚本:高岩肇 撮影:高橋通夫 美術:仲美喜雄 今井高一 音楽:斎藤一郎 出演:宇佐美淳、見明凡太郎、伊沢一郎、逢初夢子、相馬千恵子、折原啓子 

 

監督・久松静児×脚本・高岩肇による大映スリラー路線を確立した記念すべき第1回作品。戦時成金倉石が、弁護士の野辺地と脱税について計画中、青白い燐光を放って光る顔がどこからともなく現われ、550万円の宝石を国家に返せと宣告して風のように姿を消します...。本作を皮切りに、久松×高岩コンビは、『パレットナイフの殺人』(46)、『蝶々失踪事件』(47)、『三面鏡の恐怖』(48)、『氷柱の美女』(50)を手掛けます。助監督は、後に高岩の推薦で『蜘蛛の街』の監督に抜擢された鈴木英夫(クレジットは「英男」)。

 

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『緑の小筐』 (1947 年/モノクロ/82 分/スタンダード)初デジタル上映

監督:島耕二 脚本:島耕二、松下東雄 撮影:相坂操一 美術:今井高一 音楽:斎藤一郎

出演:池田雄二、相馬千恵子、有馬修、浦辺粂子 

 

転々と流れゆく緑の小箱に託して人生流転の種々相を詩情あふれる映像と音楽で描いた一大交響映画詩。真の幸福を求めて家族の元を去った父親に対して、少年は病気の母を気遣い、たどり着く当てもない中、緑の小箱に手紙を託し、川に流す...。監督の島耕二は、『風の又三郎』などの児童映画ですぐれた才能を発揮。終戦からわずか二年目の占領期真っ只中に製作された本作には、島の「本当の幸せ」への問いかけが美しい自然風景とともに描かれます。後年、島作品にも出演経験のある小林桂樹が、本作の再映画化を熱望。観る者の心に迫る奇跡のような作品。

 

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『牝犬』 (1951 年/モノクロ/100 分/スタンダード)初デジタル上映

京マチ子の肉感的魅力が全開。堅物でなくても、その魅力の虜になること間違いなし! 場末のバーで肉体を武器に生きる踊り子エミーと、彼女に人生を狂わされた真面目一筋で生きてきた男との愛憎を描きます。『痴人の愛』(49)のナオミ役で京マチ子の新境地を開き大ヒットさせた木村恵吾監督が、『浅草の肌』(50)に続いて三度京の肉感的魅力を存分に引き出した作品。志村喬演じる堀江が転落の人生をたどるキッカケとなった京との出会いのファーストカットにノックアウト!?

 

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『鞍馬天狗 黄金地獄』(『鞍馬天狗』改題再公開版、1942 年/モノクロ/91 分/スタンダード)初デジタル上映

監督・脚本:伊藤大輔 原作:大佛次郎 撮影:石本秀雄 美術:角井平吉 音楽:西梧郎 出演:嵐寛寿郎、原健作、上山草人、仁礼功太郎、水野浩

 

スリルとスピードと大殺陣で押し捲る、痛快娯楽時代劇の大傑作 明治初期の横浜を舞台に、偽札で荒稼ぎをする外国人商人と政府の命を受け潜入捜査する鞍馬天狗との対決を描きます。鞍馬天狗を明治に登場させる奇想天外な設定にはじまり、ラスト近くの銃撃戦に至るまで、とにかく映画を面白くするアイデアと工夫が随所に盛 り込まれた映画的魅力にあふれる大傑作。時代劇の父・伊藤大輔の作劇術と演出に唸ること間違いなし!

 

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『銭形平次捕物控からくり屋敷』(1953 年/モノクロ/86 分/スタンダード)初デジタル上映

監督:森一生 原作:野村胡堂 脚本:八尋不二 撮影:杉山公平 美術:上里義三 音楽:大久保徳二郎 出演:長谷川一夫、三浦光子、花菱アチャコ、入江たか子、黒川弥太郎 

 

御存知ものと侮ることなかれ、映画的醍醐味が凝縮された一大エンタテインメント! 新興宗教・紫教の評判が江戸に広まる中、不思議な首飾りを身につけた二つの死体が見つかります...。全18作品(含む『平次八百八丁』)が作られた捕物時代劇『銭形平次』シリーズの5作目。監督は、加戸敏と並んでシリーズ最多登板の森一生。ラストのからくり屋敷での追いつ追われつの大捕物は、『ルパン三世 カリオストロの城』を想起させます。森一生の遊び心が随所に見受けられる完成度の高い娯楽作。

 

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『祇園囃子』(1953 年/モノクロ/85 分/スタンダード)

監督:溝口健二 原作:川口松太郎 脚本:依田義賢 撮影:宮川一夫 美術:小池一美 音楽:斎藤一郎 出演:木暮実千代、若尾文子、河津清三郎、進藤英太郎、浪花千栄子

 

京都・祇園に生きる芸者たちの喜怒哀楽を描く珠玉の一作。芸妓・美代春は、ある日やって来たみすぼらしい姿の少女・栄子を舞妓として育てることに。ベテラン女優・木暮実千代と新人女優・若尾文子が役柄とオーバーラップし、映画に深みを与えた人間ドラマ。当初、溝口は、50年公開の『イヴの総て』をヒントに、若尾文子演じる栄子を、姉を踏み台にしてでものし上がろうとする強烈なキャラクターにするつもりだったが、スターのイメージを尊重する会社側に阻まれ断念。後年、『赤線地帯』(56)で、若尾は溝口が『祇園囃子』で与えようとしていた役柄を演じることに。 

 

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『四谷怪談』 (1959 年/カラー/84 分/スコープ)初デジタル上映

監督:三隅研次 脚本:八尋不二 撮影:牧田行正 美術:太田誠一 音楽:鈴木静一 出演:長谷川一夫、中田康子、鶴見丈二、近藤美恵子、浦路洋子 

 

惚れて惚れて惚れぬいた女の一念恐ろしや!名匠・三隈研次による怪談映画の決定版 。浪人の伊右衛門は、ある夜、裕福な武家の娘を助けたことから、その娘・お梅に見初められてしまう。伊右衛門の妻・お岩に嫉妬したお梅は、伊右衛門の悪友・直助を利用してお岩に毒を飲ませるも...。大スター長谷川一夫を伊右衛門に起用するにあたり怪談の古典を大胆に解釈。お岩を演じる中田康子の妖しい美しさが出色。黒沢清監督が選ぶ「日本の幽霊が怖い映画」第1位に選出された傑作。

 

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『切られ与三郎』 (1960 年/カラー/95 分/スコープ)

監督・脚本:伊藤大輔 撮影:宮川一夫 美術:西岡善信 音楽:斎藤一郎

出演:市川雷蔵、中村玉緒、冨士眞奈美、淡路恵子

 

粋、男の色香、殺陣の切れ...雷蔵の魅力が炸裂する傑作人情時代劇。綱元の囲われ女・お富と好い仲になったため滅多切りにされた上、川に投げ込まれた与三郎。奇跡的に助かった与三郎は、やがてお富と再会しますが...。『弁天小僧』の好評を受け、同じく歌舞伎の演目「与話情浮名横櫛」を映画化。数奇な運命に弄ばれる愛憎流転の与三郎とお富の恋物語を詩情豊かに描き出します。撮影の宮川、美術の西岡らの功績も相俟って、伊藤監督による時代劇の頂点のひとつ。

 

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『不知火検校』 (1960 年/モノクロ/91 分/スコープ)

監督:森一生 原案:宇野信夫 脚本:犬塚稔 撮影:相坂操一 美術:太田誠一 音楽:斎藤一郎 出演:勝新太郎、中村玉緒、近藤美恵子、丹羽又三郎、鶴見丈二 

 

立身出世のためには悪事を犯すことも厭わないピカレスク時代劇の傑作。不知火検校に弟子入りしている杉の市は、ある日出会った旅人が大金を持っていると知り巧みに殺害して大金を奪います。デビュー以来、長谷川一夫のあとを追い、白塗りの二枚目を演じていた勝新太郎が、72本目にして掴んだ新境地にしてその後の役者人生を決定づけた記念碑的作品。

 

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『手討』 (1963 年/カラー/85 分/スコープ)

監督:田中徳三 原作:岡本綺堂 脚本:八尋不二 撮影:牧浦地志 美術:西岡善信 音楽:伊福部昭 出演:市川雷蔵、藤由紀子、城健三朗(若山富三郎)、成田純一郎

 

使命のため愛する女を斬らねばならない男の哀切を描く悲恋物語。徳川泰平の世、幕府に抗う騒乱が次々と起こる中、旗本・青山播磨は腰元・お菊との身分違いの愛に燃えて...。岡本綺堂原作「番町皿屋敷 お菊と播磨」を映画化。大胆に脚色し、真心を疑われ恋人を自らの手で討つ男とその恋人との悲恋の物語が、厳しくも美しく綴られた大映時代劇の逸品。雷蔵の代表作の一本で、『悪名』とともに田中徳三の名前を映画史に刻んだ名作。時代劇初出演の藤由紀子の美しさも見所。

 

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『黒の超特急』 (1964 年/モノクロ/94 分/スコープ)初デジタル上映

監督:増村保造 原作:梶山季之 脚本:白坂依志夫、増村保造 撮影:小林節雄 美術:下河原友雄 音楽:山内正 出演:田宮二郎、藤由紀子、船越英二、加東大介、石黒達也

 

高度経済成長期の闇をスリリングに描いた「黒シリーズ」の決定版。新幹線用地買収に絡む不正に目をつけ、一攫千金を狙う野心的な青年実業家を描いたサスペンス。用地買収をもくろむ東亜開発社長の中江を演じる加東大介の変幻自在の演技に圧倒されます。増村は映画化にあたり「組織に頼らず、自分の力で悪いことをして金を儲けているやつ。田宮二郎の主人公をそんなアウトローの大悪党にしてみたい」と演出の狙いを語っています。 

 

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『兵隊やくざ』 (1965 年/モノクロ/102 分/スコープ)

監督:増村保造 原作:有馬頼義 脚本:菊島隆三 撮影:小林節雄 美術:下河原友雄 音楽:山本直純 出演:勝新太郎、田村高廣、淡路恵子、滝瑛子、成田三樹夫 

 

満州の大地を舞台に、名匠・増村保造による「反逆と冒険を描いた」青春映画。インテリで古参上等兵・有田と、腕っぷしのたつ義理人情の大宮二等兵。厚い友情で結ばれたアウトロー二人組が、軍隊の鉄の体制に反逆し満州の大地を駆け抜ける大ヒットシリーズ第1作目の痛快作。以降、72年の『新兵隊やくざ火線』まで9作品となりました。

 

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『白い巨塔』 (1966 年/モノクロ/150 分/スコープ)

監督:山本薩夫 原作:山崎豊子 脚本:橋本忍 撮影:宗川信夫 美術:間野重雄 音楽:池野成 出演:田宮二郎、東野英治郎、田村高廣、小沢栄太郎、船越英二、滝沢修 

 

謀略渦巻き欲望がおどる医学界の内幕を暴いた巨匠・山本薩夫の渾身の大作ドラマ。名門医大を舞台に次期教授選定をめぐる陰謀や派閥抗争など、腐敗した医療現場の実情を抉り出します。大反響を呼んだ山崎豊子ベストセラー小説の映画化で、田宮二郎が大スターとしての地位を確立し生涯最大の当たり役となった記念碑的作品。脇を固める重厚な俳優陣の演技合戦は溜息もの。キネマ旬報ベストテン第1位ほか各映画賞を独占した必見の傑作ドラマ。

 

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『眠狂四郎無頼剣』 (1966 年/カラー/79 分/スコープ)

監督:三隅研次 原作:柴田錬三郎 脚本:伊藤大輔 撮影:牧浦地志 美術:下石坂成典 音楽:伊福部昭 出演:市川雷蔵、天知茂、藤村志保、工藤賢太郎

 

格調高い時代劇の風格を備えた眠狂四郎シリーズ屈指の一作。死んだ師の恨みを晴らすため江戸を火の海にしようと企む浪人一団と、狂四郎の死闘を描くシリーズ第8作。監督は、狂四郎像を決定づけた第2作『勝負』を手掛け、『炎情剣』に続いて三度目の登板となる三隅研次。伊藤大輔の脚本を得て、三隅の美意識も相俟ってシリーズ随一の格調の高さを誇ります。同じ円月殺法で狂四郎と対する愛染役・天知茂の圧巻の演技も必見。ラストの燃え盛る江戸の街を背景に、屋根での対決シーンは息を呑む美しさです。

 

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『大悪党』 (1968 年/モノクロ/93 分/スコープ) 初デジタル上映

監督:増村保造 原作:円山雅也 脚本:石松愛弘、増村保造 撮影:小林節雄 美術:下河原友雄 出演: 田宮二郎、佐藤慶、緑魔子、倉石功 

 

男と女の極限の駆け引きを増村の力強い演出で描き出す手に汗握るサスペンスの傑作。街のやくざに犯され卑劣な手段で脅迫された芳子。しかし、救いをもとめたアウトロー弁護士は、やくざ以上に悪党でした...。『妻は告白する』の原作者・円山雅也の「悪徳弁護士」を映画化。食らいついたら離れない、女を女とも思わない佐藤慶演じる悪辣なやくざに恐怖。同じ罪で二度裁かれない一事不再理を日本映画にはじめて持ち込んだ傑作サスペンスです。

 

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『ひとり狼』 (1968 年/カラー/84 分/スコープ)

監督:池広一夫 原作:村上元三 脚本:直居欽哉 撮影:今井ひろし 美術:太田誠一 音楽:渡辺岳夫 出演:市川雷蔵、長門勇、小川真由美、岩崎加根子、長谷川明男 

 

雷蔵が暗い情念を湛える圧巻の演技を披露する股旅映画の最高傑作。一匹狼の渡世人・人斬り伊三蔵に襲いかかる過去の因縁。「プロフェッショナルの厳しさを描きたかった」とその演出意図を語る池広は、リアリズムを追求するにあたって「病理集団の構造、親分乾分の集団研究」などを参考に、従来の股旅映画が描いてこなかった渡世人のしきたりや所作をリアルに描きました。本作以降、「木枯し紋次郎」などの股旅ものに多大なる影響を与えた傑作。

 

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『怪談雪女郎』 (1968 年/カラー/79 分/スコープ)

監督:田中徳三 脚本:八尋不二 撮影:牧浦地志 美術:内藤昭 音楽:伊福部昭

出演:藤村志保、石浜朗、長谷川待子、内藤武敏、鈴木瑞穂

 

大映京都撮影所の技術の粋を集結させた珠玉の名作。吹雪の夜、老仏師と弟子の与作は山小屋で雪女郎に襲われます。老仏師の命を奪った雪女郎は見たことを誰にも言わないと約束させて与作の命を助けます。春、与作の家に美しい娘がやって来て...。「ホラーではなく、幻想的なロマンの世界を描きたい」と演出の狙いを語った田中の狙いどおり、切なくもほろ苦い印象を残す耽美的怪奇ロマンの傑作となりました。牧浦地志の夢幻的なキャメラワークや雪の表現が素晴らしい。

 

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『やくざ絶唱』 (1970 年/カラー/94 分/スコープ) 初デジタル上映

監督:増村保造 原作:黒岩重吾 脚本:池田一朗 撮影:小林節雄 美術:矢野友久 音楽:林光 出演:勝新太郎、大谷直子、田村正和、加藤嘉、川津祐介、太地喜和子 

 

許されない愛に苦悩するやくざの生きざまをダイナミックな演出で鮮烈に描き切った増村保造の意欲作。やくざの実は、腹違いの妹・あかねに対して兄妹愛を越えた強すぎる愛情を抱いていた。結ばれるわけにはいかない二人は...。「背徳のメス」で直木賞を受賞した黒岩重吾の「西成山王ホテル・崖の花」を映画化。林光による兄と妹のシーンで繰り返し奏でられるハーモニカを使ったメロディは、行きつく先のない二人の心境も相まって胸に迫ります。

 

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『ボクは五才』 (1970 年/カラー/90 分/スコープ) 初デジタル上映

監督:湯浅憲明 脚本:高橋二三 撮影:森田富士郎 美術:上里忠男 音楽:菊池俊輔

出演:岡本健、 宇津井健、左卜全、北林谷栄、八代順子 

 

負けるもんか!泣くもんか!勇気いっぱい五才の坊やが父を尋ねて大冒険。5才の男の子が父親に会いたい一心で高知から父の出稼ぎ先である大阪の天王寺まで約400キロの道のりをひとり旅する道行きを描いた実話の映画化。監督・脚本は「ガメラ」シリーズの湯浅憲明・高橋二三、撮影は「大魔神」三部作の森田富士郎が担当。湯浅の少年への温かい眼差しと、森田の少年の心情に寄り添ったキャメラが観るものの心を打つ、大映末期の隠れた傑作です。

 

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『遊び』(1971 年/カラー/90 分/スコープ)

監督:増村保造 原作:野坂昭如(「心中弁天島」より) 脚本:今子正義、伊藤昌洋 撮影:小林節雄 美術:間野重雄 音楽:渡辺岳夫 出演:関根恵子(高橋惠子)、大門正明、蟹江敬三、平泉征(成) 

 

ある日突然出会ってしまった…デビュー作『くちづけ』と対をなす青春映画の傑作。家族のため昼も夜も工場で懸命に働く少女は、休日に出かけた街で青年と出会い...。若い2人が出会い結ばれるまでの激しくも純粋な“初恋”を、名匠・増村が描いたほろ苦い純愛物語。迫りくる倒産の不安と闘いながら、キャメラの小林節雄はじめ、美術の間野重雄ら増村組を支えたスタッフが最後の力を振り絞って作り上げた純度の高い青春映画の傑作。増村48作目にして最後の大映作品。

 

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(資料提供:KADOKAWA営業部)