決して他人事とは思えない! 世界のいまを伝える熱い映画2作品

2023年頭に観るべき、作り手の熱意が伝わる映画2選

昨年2022年は、他国のことと無視できない現実が我が国日本にも迫っていることを実感させた1年でした。そんな世界の今を知ることができる、2023年はじめの今こそ観るべき映画を紹介します。

『母の聖戦』 1/20(金)公開

現代のヨーロッパを代表する名匠のダルデンヌ兄弟、ルーマニア・ニューウェーヴの重要監督クリスティアン・ムンジウ、メキシコの俊英ミシェル・フランコの3監督がプロデューサーとして名を連ね、ワールドプレミアとなった第74回カンヌ国際映画祭で大反響を呼び「ある視点」部門で勇気賞を受賞、第34回東京国際映画祭では審査委員特別賞を受賞した、テオドラ・アナ・ミハイ監督の劇映画デビュー作。

『母の聖戦』© MENUETTO FILM, ONE FOR THE ROAD,LES FILMS DU FLEUVE, MOBRA FILMS,TEOREMA All rights Reserved.
『母の聖戦』© MENUETTO FILM, ONE FOR THE ROAD,LES FILMS DU FLEUVE, MOBRA FILMS,TEOREMA All rights Reserved.

メキシコ北部の町で暮らすシングルマザー、シエロのひとり娘である十代の少女ラウラが犯罪組織に誘拐されてしまいます。冷酷な脅迫者の要求に従い、20万ペソの身代金を支払ってもラウラは帰らず、警察に相談しても相手にしてもらえないシエロ。彼女は自力で娘を取り戻すことを胸に誓い、犯罪組織の調査に乗り出します。

 

そのさなか、軍のパトロール部隊を率いるラマルケ中尉と協力関係を結び、組織に関する情報を提供したシエロは、誘拐ビジネスの闇の血生臭い実態を目の当たりにしていきます。人生観が一変するほどのおぞましい経験に打ち震えながらも、行方知れずの最愛の娘を捜し続けるシエロは、いかなる真実をたぐり寄せるのでしょうか......。

『戦場記者』 全国順次公開中

戦争が続くウクライナでは、クラスター弾が降り注ぐ南部の街ミコライウの住民や、ロシア軍の占拠で放射能汚染のリスクが激増したチョルノービリ原発の職員に取材し、ロシアのプーチン大統領が「ネオナチからの解放作戦」と主張する“軍事作戦”が紛れもない侵略・破壊行為であることを示しました。

『戦場記者』©TBS テレビ
『戦場記者』©TBS テレビ

本作は、普段我々が触れる国際ニュースだけでは知りえない、圧倒的なリアルを映し出します。また、普段テレビや動画では見られない“平時”の須賀川に、権威ある「ボーン・上田記念国際記者賞」を受賞したスター記者の葛藤や、戦地に足を運び続ける思いも語らせます。彼は異国の地で何を感じ、何を考え、何を我々に伝えようとしているのか?我々が住む日本から遠く離れた現場で悪戦苦闘するひとりの日本人の瞳に映るものとは......。