たったひとりで誘拐組織に挑む母親にはモデルがいた!『母の聖戦』特別予告映像

『母の聖戦』1月20日ロードショー

メキシコ誘拐ビジネスの実態を背景に、子どもを誘拐犯から取り戻す母親の愛と執念を描く『母の聖戦』が、2023年1月20日(金) ロードショー公開。このたび、本作の主人公・シエロのモデルとなった実在の人物“ミリアム・ロドリゲス”について紹介します。また、特別予告映像も公開されました。

 (C)MENUETTO FILM, ONE FOR THE ROAD,LES FILMS DU FLEUVE, MOBRA FILMS&TEOREMA
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ミリアム・ロドリゲスは、復讐のためたった一人で麻薬カルテルに挑み、犯人たち10人を監獄へと追いつめることに成功した実在の女性。

 

2012年、当時20歳だった娘のカレンを誘拐されたミリアムのもとには、犯人から脅しの電話が繰り返され、要求された高額の身代金を銀行でローンを組み工面し支払ったが娘は解放されず、解放を約束された墓地で暗くなるまで待っていたといいます。

 

そこでミリアムは、娘を誘拐した犯罪組織<ロス・セタス>のリーダー格の男に会い、娘を解放して欲しいと直接懇願。しかし「組織は誘拐に関与していない。2千万ドルを払えば娘を見つける手助けをする」と言い張り、ミリアムは男に追加の金を支払ったが一週間後には男と音信不通となり、代わりに誘拐犯を名乗る他の男たちから「もう少しだけ金が必要だ」と追加で金を要求する電話がかかってくるようになります。

 

家族は一縷の望みをかけて要求された金を払い続けたものの、ついに娘は戻ってこないまま、誘拐から2年後の2014年に大量の死体の中から娘・カレンの遺骨が見つかりました。

 

ある日を境に、ミリアムは犯人たちへの復讐を決意。髪を短く切って赤く染め、世論調査員や医療従事者、選挙管理人のふりをして犯人たちの名前や住所を調べ、犯人たちの祖母やいとこに近づき情報を集めていきます。

 

犯人のなかには故郷に戻って敬虔なクリスチャンとして過ごしている男もいましたが、ミリアムは男の祖母に近づき男が通っているという教会を聞き出し、ミサに参加していた犯人の男を見つけ出して警察に引き渡します。

 

教会のなかで男を捕らえたとき、男は慈悲を乞いたが、「娘を殺したとき、お前の慈悲心はどこにあった?」とミリアムは言い返したといいます。

 

また別の犯人は、ミリアムがリーダー格の男に会った際に無線から漏れ聞こえた名前から男のSNSを見つけ出し、一年にわたり彼のSNSを監視し続け、交友関係を紐解きます。

 

ついに男が路上で花売りをしているとの情報を掴んだミリアムは、銃を持ってすぐに現場へと向かい、逃亡する男を追いかけて捕らえ、警察へと引き渡すまでの約1時間のあいだ「動いたら撃つ」と言って犯人の背中に銃を押し付け続けていたといいます。

 

そうしてミリアムは、娘の誘拐殺人事件に関わった犯人のうち生存しているほぼ全員となる10人もの犯人を逮捕へと追いつめました。正義を求めるミリアムの鬼気迫る行動は、組織の報復を恐れて見て見ぬふりをしてきた街の人々に大きな衝撃を与え、多発する犯罪に苦しむ市民を熱狂させ被害者たちを勇気づけました。

 

しかし面目をつぶされた組織の方もそのまま黙ってはおらず、最後の犯人を捕まえた数週間後の2017年の母の日に、ミリアムは自宅前で十数発もの銃撃を受け殺されました。ミリアムが立ち上げた行方不明者の家族を支援する団体は息子が引き継ぎ、今も活動が続けられています。

 

本作の監督テオドラ・アナ・ミハイは、生前にミリアムと話した際に聞いた「毎朝、起きるたびに、この拳銃で自殺するか、人を撃ちたいと思う」という言葉に衝 撃を受け、なぜ彼女がそんな過激な感情を持つようになったのかを知りたいと思い、彼女の物語を撮ることを決めたといい、次のようにコメントしています。

 

「彼女と、その他多くの犠牲になった方々へのリスペクトから、この映画がポジティブな変化をもたらすことを願っている」

「娘のためなら何だってやる」1人戦い続ける母親の怒りと執念にみちた特別予告

このたび解禁された特別予告では、娘を誘拐されたシエロが娘を取り返すために奔走する様子が母親・シエロの視点から描かれています。

身代金を支払ったが娘は解放されず、警察や友人に話しても相手にされずに「ひどい目に遭っても誰も助けてくれない」と憤ります。

 

テレビで若い女性の遺体が発見されたというニュースを見て不安に駆られ、手段を選んでいる暇はないと軍と協力しながら娘を探し始めるも、最初は被害者だったシエロ自身がいつの間にか悪意に満ちた暴力の渦の中に巻き込まれることに...。

 

どんなに凄惨な光景を目にしても決して諦めないシエロは「娘のためなら何だってやる」と一人闘い続けます。想像を絶する人生を歩んだ母親の実話を基に生み出された並外れた緊迫感がみなぎります。

軍と協力。そこで目の当たりにした、犯罪組織の実態

テオドラ・アナ・ ミハイ監督の劇映画デビューとなった本作は、現代ヨーロッパを代表する名匠のダルデンヌ兄弟、『4ヶ月、3週と2日』でカンヌ映画祭パルムドールに輝いたクリスティアン・ムンジウ、『或る終焉』で知られるメキシコの俊英ミシェル・フランコがプロデューサーとして参加しています。

 

メキシコ北部の町で暮らすシングルマザー、シエロのひとり娘である十代の少女ラウラが犯罪組織に誘拐。要求に従い20万ペソの身代金を支払っても、ラウラは帰ってこない。警察に相談しても相手にしてもらえないシエロは、自力で娘を取り戻すことを胸に誓い、犯罪組織の調査に乗り出します。

 

その最中、軍のパトロール部隊を率いるラマルケ中尉と協力関係を結び、組織に関する情報を提供したシエロは、誘拐ビジネスの闇の血生臭い実態を目の当たりにします。人生観が一変するほどのおぞましい経験に打ち震えながらも、行方知れずの最愛の娘を捜し続けるシエロは、いかなる真実をたぐり寄せるのでしょうか......?

 

『母の聖戦』は、2023年1月20日(金) よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほかにて全国ロードショー。

 

[作品情報]

『母の聖戦』

監督:テオドラ・アナ・ミハイ 

製作:ハンス・エヴァラエル 

共同製作:ダルデンヌ兄弟、クリスティアン・ムンジウ、ミシェル・フランコ 

出演:アルセリア・ラミレス、アルバロ・ゲレロ、アジェレン・ムソ、ホルヘ・A・ヒメネス

2021年/ベルギー・ルーマニア・メキシコ合作/135 分/カラー/スペイン語/5.1ch デジタル/ビスタサイズ

字幕翻訳:渡部美貴 映倫 G 

配給:ハーク 

配給協力:FLICKK 

宣伝:ポイント・セット 

https:// www.hark3.com/haha

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