ダウンサイジングしたジュエリー。器具で見せない照明で空間をデザインする。

2018年10月24日に発表されたFLOSの新作、アレンジメンツ(Arrangements)は、文字通り自由にくみ上げてアレンジ可能な照明だ。

ローゼットと呼ばれるカバーの部分(40,000円+税)と、天井のどこかに仕込まれるドライバー(59,000円)以外は、9種類のエレメントと呼ばれる照明モジュールを数珠つなぎにする。1700mmの長い棒「LINE」、L型の「BROKEN LINE」、円形の「ROUND」(S/M/Lの3種類)、涙型の「DROP UP/DROP DOWN」、四角形の「SQUARE」(SMALL/LARGEの2種類)を組み合わせ、大小様々な照明器具を創り出せる。

つまりはインスタレーションが伴う照明器具であり、ダウンサイズして考えれば、パーツを組み合わせてネックレスをこしらえるのに似ている。デザイナーのマイケル・アナスタシアデス自身も「ペンダントという言葉が照明とジュエリーの2つの意味を持つのは必然」とコメントしていることから、開発の動機となったのは明らかだ。

それぞれの照明モジュールは、光が透過するシリコン部分とフレームを形成するアルミ部分で構成されている。各エレメントが交わる部分を六角レンチで結合すると通電も同時に可能となる不思議。このシステムは特許を取得している。

また、ケミカルのペンライトのようにムラなく光るチューブ状の中身は? というと、導光板で拡散しているのではなく、小さいLEDの粒を多数配置しているという。

 

使い方はいろいろ考えられるだろうが、日本で一番人気なのは、ダイニングの上に「LINE」を使ったアレンジメンツ。しかしやはり見栄えがするのは、吹き抜けや公共施設のエントランスに大小の「SQUARE」を組み合わせたアレンジメンツ。LEDの登場により照明器具のデザインは自由になったが、もはや照明は器具のデザインで選ぶのではなく、カスタマイズして空間自体をデザインする時代になったということだ。工業デザイナーのマイケル・アナスタシアデスならではの機能性むき出しの世界観は、まだまだ広がりを見せそう。