黄金比、生命力。自然の根源を感じるYAMAGIWAのT2オマージュ作発表会

フランク・ロイド・ライトの手によって生み出されたタリアセンは、YAMAGIWAがアメリカのフランク・ロイド財団より94年から国内ライセンスをもとに製造を許されている。昨年にはフランク・ロイド・ライト生誕150周年を記念し、タリアセン2(T2)の限定モデルを発表したが、今回はその第2弾として、建築家の伊東豊雄さん、デザイナーの皆川明さん、彫刻家の名和晃平さんによるオマージュ作品をリリースした。

 

11月21日に東京・品川のT-ART HALLで行われたプレスプレビューでは、これらが一堂に集めてインスタレーションが施され、各作品のコンセプトが語られた。

 

垂直に連続して伸びる、灯りのついた家 〜伊東豊雄

TALIESIN POLYGON¥1,200,000+税は、切頂8面体、切頂4面体、立方8面体という3つの多面体を組み合わせることですべての面が隙間なく埋まるという特性を活用したもの。NHKのプロフェッショナル仕事の流儀でも取材された、オスロ市ダイクマン中央図書館をめぐるコンペで着想したアイデアを基にしている。

 

「オスロに降り立ったとき、真っ白な雪の中に家のあかりが灯っているのをみて、家が連続して繋がったものを創ってみたいとおもった」と当時を振り返り、今回はその多面体を垂直方向に繋ぐことができたと伊東さんは述べた。会場のインスタレーションでは調光が施されていたこともあって、どこまでも奥深い空間であたかも生き物が呼吸するかのような息吹を感じさせた。

 

ブランクーシ無限柱を思わせる、地より沸き上がる生命力 〜名和晃平

PARTICLE-T2はデザインを変えずに表面の素材を変える方向で製作されたオマージュ作品。炭化ケイ素を砕くと輝く性質を利用して、光の集合体にすることに徹したという。

 

地面から生命力が立ち上がるイメージは、犬島「家プロジェクト」で見せたBiota (Fauna / Flora)  と共通するもの。2013年の作品PARTICLEを組み合わせたと考えられる。

 

「コンスタンティン・ブランクーシの無限柱のように見えた」という名和さんは、2段ずつ増やした5台を追加で設計し、合計10のラインナップを揃える。「正四面体の分子構造をもつ炭化ケイ素の尖った光り方をするところを観て欲しい」と述べた。

自然との一体化を想起。使い手と風景の対話 〜皆川明

 TALIESIN+(¥38,000+税)は「オリジナルのタリアセンに対してできることは、寄りそって添えることだろう」と、タリアセン2にアドオンする12のパーツをデザイン。遮光板が、紙のサイズとして使われれば半分に切っても必ず同じ比率になる1対√2の白銀比であることに着目し、そのサイズ1枚に収まるパズルのようにパーツを構成。その上で、(1)光を別方向に向けること(2)タリアセンを木に見立てて鳥を加えることとし、それぞれの家の空間に少しだけ新たな風景を描くこととした。

 

落水荘等にみる自然と建築物の一体化が本作でも踏襲されたわけだ。会場のインスタレーションでは、サイネージにより3羽の光の鳥が舞うさまが来場者を楽しませていた。

 

 

いずれもフランク・ロイド・ライトのタリアセンが元来持っている黄金比や生命力、自然による所与の源を改めて感じさせるもので、オマージュ作品に相応しい出来映え。2019年12月31日まで受注可能だ。

 

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