80年代来の鬼才デイヴィッド・バーンとスパイク・リーが夢のコラボ。スーツに裸足の『アメリカン・ユートピア』

グラミー賞を受賞した元トーキング・ヘッズのデイヴィッド・バーンと『ブラック・クランズマン』でオスカーを受賞したスパイク・リー監督による映画『アメリカン・ユートピア』。デイヴィッドが自身のアルバム「アメリカン・ユートピア」を原案にした舞台の映像化をスパイクに打診して実現しました。

 

そのいきさつは、HBO公式Youtubeチャンネルに掲載されたデイヴィッドとスパイクの対談動画で明らかにされています。

 

ともにニューヨークを拠点に活動してきた2人は、80年代に出会ったきっかけはよく覚えていないものの、「互いに憧れの存在だった」と述べています。それから30年以上を経て、デイヴィッドから『アメリカン・ユートピア』映像化を打診されたスパイクは、初めてショーを見たときの衝撃について「ステージ上で脳みそを持つデイヴィッドをみて『なんだこれ!?』と思った。そして、ミュージシャンたちがステージに上がってくるのを見た。振り付けがすごい! 参加したいと思った」と語っています。

グレーのスーツに裸足というスタイルの秘密

 全員揃いのグレーのスーツに裸足という印象的なスタイルがこのショーの特徴ですが、決まるまでのいきさつが意外でした。なんと、照明との関係でそうなったのだとデイヴィッドが語っています。

 

「照明デザイナーのところへ行きスーツの色は何色にするか尋ねました。すると、『ミディアムグレー。照明を消せば消えてしまう。ライトを当てれば飛び出す色』という。私はそれを見て、このバンドにビジネスシューズは似合わないと思い、『よし、裸足になろう!』と言ったんです」

 

配線を廃し、何もない舞台セットになったことで、人間の肉体がフォーカスされ、照明演出も相まって舞台芸術の極みに昇華。

 

「そういえば聞いてなかったな、『デイヴィッド・バーンのアメリカン・ユートピア』のタイトルの意味は? ユートピア、平和と愛。つまり魔法の世界」 とスパイクが尋ねると、デイヴィッドは「そう。でも明らかに私たちはユートピアには住んでいません。しかし、私はこれを実現できるという証拠を示しているのです」

 

そしてひとこと「スピーチする必要はない、ただ見てくれればいい」。

 

映画監督のデヴィッド・リンチが作品内容の説明を求められたときに「ただ感じて欲しい」と返すのをおもいだしました。

 

英国版のブルーレイを入手してさっそく堪能しましたが、素晴らしいサウンド! 思わず愛試聴盤『STOP MAKING SENSE』やらを引っ張り出してきて堪能してしまいました!