一点モノの古民具に息吹を吹き込む宇宴の「古民具スピーカー」
去る2022年6月17日〜25日に東京・石神井台copse(https://www.instagram.com/copse_copse_copse/)で開催された企画展「ひかりあれ」で、スピーカー作家・宇宴(うえん)の新作スピーカー展示会がありました。
“新作”とはいっても、いずれも、一点モノの古い民具をアレンジしてスピーカーとして息吹を吹き込んだものばかり。彼の古民具スピーカーは、古民具それぞれの姿や音が人を惹きつけ、「自分らしさ」をみつけるアイテムでもあるのです。
オーナーは美術館勤務の若い女性。古民具スピーカー「鳥籠」
展示されていた作品の中で、この古民具スピーカー「鳥籠」を手にしたのは、美術館に務める若い女性。以前別のイベントで参考出品したとき見かけて以来、ずっと気になっていたとのこと。
「もう売れちゃったかなと思っていたけど、今回出展されると知り、実物を見てみて購入を決めました」
当日の展示会場には、次のようなコピーが掲げてありました。
「かつて、どんな鳥がこの鳥籠で生活していたのだろう。
きっと往時は、素敵なさえずり声が持ち主を楽しませていたことだろう。その可愛らしい姿に惹かれ、もう一度音楽を奏でてほしい、という思いでスピーカーにリビルドすることにした。
このセンスの良い手作り品のデザインを活かした制作法を模索していくと、箱自体に大きな加工を施すのではなく、エンクロージャー部分の箱を新たに作って、後ろからはめ込む手法が最善策となった。
本機の大きな特徴と言えるのが、高域の指向性を改善する “鳥の巣ディフューザー”だ。あえて、ユニットを鳥の巣の後ろに取りてけている。 そのため、音が優しく広がるというより、鳥籠の中から鳴っていることを意識させるようなハキハキした音が飛び出す。また、真正面で聴かなくてもバランスは れにくく、部屋のどの位置にいても快適に音楽を楽しめるだろう」
後世に遺すための、“奏でる古道具”
JBLなど、過去の名作と言われたスピーカーは、出来のいいスピーカーユニットありきで、それに相応しい容量のエンクロージャーを組み立て製品化したもの。でも「宇宴」古民具スピーカーはその逆で、彼自身の琴線に触れ、後世に遺したいと思わせたハコを探し当て、求めるユーザーを想像しながら奏でる楽器に仕立てようとするものです。民具と同じように、生活の一部で使用される身近な道具であることを意識しているといいます。
ちなみに近年の工業製品としてのスピーカーのほとんどは、70年代英国KEFにはじまるコンピューターシミュレーションによる計算ずくでの設計を経て、中国など人件費の安い工場で組みたてるものがほとんどです。
「宇宴」スピーカーを購入する人はいつも、「なんとなくこのスピーカーがうちに来る予感がしていた」というのだとか。
「使われなくなった道具たちがスピーカーという新たな役割を与えられて、新しいご主人のもとで愛でてもらえることが、製作者としても最大の喜びです」(宇宴)
ガッチリしたエンクロージャーの“HiFi”スピーカー「銭函」
そんな宇宴の古民具スピーカー「銭函」が、2022年7月16日にオンライン限定で販売されます。
江戸時代・元禄に作られたという銭箱。硬い木材が使用され、複雑な組み方によりがっしりと組まれています。その特徴は、HiFiスピーカーづくりの正攻法のアプローチにピッタリと宇宴はふんだそう。
箱鳴りを抑えてフラットなチューニングとし、ポップスやロック、クラシックまで幅広いジャンルの音楽が楽しめる一台に仕上げました。
もっとも、ここに至るまではずいぶんと手間暇かかる工程を経ているんだそう。
「各所のボロを丁寧に補修することからスタート。赤錆がひどかったため、これ以上進行しないように錆転換剤でていねいに処理して、木部もクリーニングしオイルで潤いを与えました」
そして「宇宴」流の施しはここから。スピーカーユニットを正面に向けてダイレクトに音圧を感じることも、上向きに置いて部屋全体に音の広がりを持たせることもできます。また、上部にパカッと開く小物入れだった箇所にはスピーカーターミナルを配置、小型のデジタルアンプやブルートゥースレシーバーを内蔵できるようにしています。
古民具スピーカー「銭箱」は、7月16日(土)21:00より、オンラインにて販売されます。
◯注文方法は3種
「お住まいの市区町村」「メッセージ」を添えて
・Instagramアカウント @uen______ トップにあるURLのフォーム
・instagramのDM
・uenspeaker@gmail.com へメール
※販売開始から1日以内に複数申し込みがあった場合は抽選