グローバルブランドKOYORI、世界デビュー。飛驒産業と天童木工の匠の技を活かしたファーストコレクション

KOYORI、ミラノデザインウィークで世界デビュー

日本のものづくりの力を結集させた全く新しいグローバルアライアンスブランドKOYORI(コヨリ) が、2022年6月ミラノデザインウィーク期間中に“デザインミュージアム トリエンナーレ・ミラノ” で全世界に向けて発表されました。なお、日本での発表は10月予定とのこと。

ファーストコレクションは、無垢の曲木家具を得意とする飛驒産業、成形合板を得意とする天童木工がものづくりに参加。パリを拠点に活躍する兄弟デュオ、ロナン&エルワン・ブルレック (Ronan & Erwan Bouroullec)とコペンハーゲンを拠点に活躍するデュオ、ガムフラテージ (GamFratesi)デザインによる木製チェア5モデルを発表しました。

スタンドデザインはガムフラテージが担当し、暖簾を思わせる布のインスタレーションで日本の美を尊重しながら、繊細で詩的な空間を演出。軽やかな布が風になびく様子や、程よく囲まれた空間が訪問者を歓迎しました。

展示では椅子に合わせたテーブルも製品化を前に初披露、コレクションに豊かさを加えました。

“デザインミュージアム トリエンナーレ・ミラノ” での展示風景 Photography: ALBERTO PARISE

KOYORIエグゼクティブ・ディレクター神田宗俊は、「モノに宿るシンプルで繊細な美しさを伝えると同時に、各商品の背後にある職人の技に対するひたむきさや、情熱、献身的な勤勉さや配慮の精神、そして商品を唯一無二の作品にする完璧主 義性といった日本のモノづくりの真髄を世界中に伝えていきたい」とブランドに込めた想いを語っています。

 

ブランド名の由来は、日本語の「紙縒(こより)」。紙縒は古くから日本でのお祝い事に欠かせない水引の素材であり、ブランド名には“結びつき”の意味も込められているそうです。

ロナン&エルワン・ブルレックによる新作チェア

「我々が目指したのは各メーカーの技術を充分に活かした集合知プロジェクトです。木の匠である職人のエッセンスをデザインに取り入れることを試みました。KOYORIプロジェクトは革新的であるとともに、アライアンスメーカーの価値や特別な技術力を最大限に表現することが目的でした」(ロナン・ブルレック)

Kawaraアームチェアは、成形合板を使った椅子で、シンプルな佇まいでありながら、新しさが感じられるデザイン。背と肘と座の3次元的な曲面が特徴的で、やわらかな曲面は美しく、座り心地を高めるとともに強度や安定性にも寄与しています。座り心地の良さは、長時間に亘る食事や会議にも重宝します。

ロナン・ブルレックは、「大きな箱のような非常に柔らかい殻の中に包み込まれる心地よさを持ったダイニングチェアです。食卓や会議テーブルの周りに置くと存在感があり、多様なフレーム色や皮革・布地の張座も選択可能です」と語っています。

Musubi アームチェアは、柔らかな量感と有機的な形状をした背と肘の結んだような接合部が特徴で、高い精度により強度を保持。彫刻のように削り出された部材は身体をやさしく支える曲線を描いており、掛け心地の良さも生み出しています。背板には材料のロスが少ない曲木が用いられ、継ぎ目のない木目が美しい表情と強度をもたらしています。

 

ロナン・ブルレックは、「椅子がもつ美的そして感触的な価値観を表現し、座る時だけではなく、触れた時に心地よいと思えるような椅子を目指しました」とコメントしています。

Shaku チェアは、小ぶりでありながらも高めの背もたれと背と座につけられたカーブが快適な座り心地にしています。背板が座板に差し込まれたような造形表現は、緻密で精度の高い加工と接合技術によって実現しました。

ロナン・ブルレックは、「とても温かく、綺麗でシンプルなこの椅子は、ある意味、椅子の歴史を物語るような椅子です。何世紀も昔に存在したかのようで、しかしながらこの椅子は更に精緻で明確です」と表現しています。

All photography: HIROSHI IWASAKI

ガムフラテージによる新作チェア

「KOYORIは日本のストーリーを伝えるブランドです。KOYORI商品はそれぞれが『章』であり、ひとつひとつ違うストーリーを伝えていきます。KOYORI商品のクラフツマンシップから醸し出される尊厳や情熱そして品質を、人々が日常的に感じてくれたら嬉しく思います」(ガムフラテージ)

 

今回発表した2モデルは、美しい商品であるとともに、ガムフラテージのルーツの一つでもあるデンマークの伝統やデザインを再解釈したとも言えます。

Miau アームチェアは、肘から背もたれ、そしてまた肘へとつながる部材が1本の曲木で加工されています。接合箇所がないため、スッと木目が繋がって美しく、板から切り出したものと比べて強度が得られます。背板は、曲木をした後に背当たりが良くなるようさらに削り出し、板座はお尻の形状に合わせて3次元に切削することにより座り心地の良さを実現しました。

ガムフラテージは、「猫のようなモチーフを取り入れることで、人間的な温かさをもつ優しいデザインにしました。繊細なディテールが散りばめられていて、特にアームの部分は思わず触りたくなるような、そして木そのものの素材の美しさを再発見できるようなディテールになっています」と解説しています。

Edahaチェアは、まるで枝の上に葉がそっと置かれたような構造をしています。これは、ガムフラテージが日常的に自然のモチーフを参考にし、インスピレーションを得ていることの成果によるものです。

「枝部分(構造)そして葉部分(座面)はこの椅子の核となる要素でした。まるで枝の上に葉が置かれたように、構造が座面をやさしく支えるような形を目指しました。全てが成形合板で出来ていますが、それぞれの部分が異なる加工技術によって作られているので、工業的でありながらも、木が持つ自然な美しさを充分に表現したナチュラルな椅子になっています」と語っています。

All photography: HIROSHI IWASAKI

 

(資料提供:KOYORI)