布が持つ“声”をレコードとしてアーカイヴ──オーナーの感性や記憶の“言語”化[DESIGNART TOKYO 2020リポート]

「スタジオ ポエティック キュリオシティ」が提案する「ファブリック・レコード」

日本最大級のデザイン&アートフェスティバル「DESIGNART TOKYO(デザイナート トーキョー)2022」。今回取り上げる注目の展示は、「Studio POETIC CURIOSITY(スタジオ ポエティック キュリオシティ)」が提案する「ファブリック・レコード」です。ITOCHU SDGs STUDIOを会場にSDGsに関する活動を展開する「めぐる、つなぐ、はじまる展」で目撃しました。

この「ファブリック・レコード」は、廃棄されようとしている布にも音という景色が残留していると考え、ジャンクレコードとしてアップサイクル。実際にレコード針を落として再生した音を、サンプリング素材の音源としてオンライン上にアーカイヴ、それを使ってまた誰かが音楽を作るという、まさに循環型のサウンドプロジェクト。

興味深いのは、布を回収するとき、オーナーに思い出を語ってもらいながら直感でタイトルをつけてもらうのだそう。これにより、布には音とともにオーナーの感性や記憶が遺され、コトバによる“意味づけ”も与えられるというワケです。

布自体が持つ“声”のアーカイヴ

スタジオ ポエティック キュリオシティは、青沼優介と三好賢聖による2020年創設のデザインスタジオ。技術の進歩に未来を委ねるのではなく、いまある現象に指摘観点を見いだすことで“言語化”“具現化”する創作活動を行っています。

 

この作品も、目の前の廃棄されようとしている布をどう活用しようかと思いあぐねていたとき、たまたまあったレコードプレーヤーで再生してみたらどうだろうと着想、布自体が持つ“声”をアーカイヴしようと考えたのだそう。

 

12月3日からは、東京・大田区西蒲田のアトリエビル「HUNCH」で個展「ポエティックプロトタイピング」を開催予定。このDESIGNART TOKYO 2020での「ファブリック・レコード」が、より発展した姿で登場予定とのことで、ぜひ注目したいと思います。

 

(取材・写真・文:遠藤)

 

 

[開催概要]

会場:HUNCH 東京都大田区西蒲田7-61-13

会期:12月3日(土)~12月11日(日) 各日13時~18時まで

 

https://poeticcuriosity.com

 

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