[レビュー]エプソンEH-LS800 明るさは正義!ゆがみ補正も凄い、4K&レーザー&超短焦点プロジェクター[Part3・完]

慣れ親しんだクセのないエプソントーン

肝心の映像ですが、エプソン独自の4Kエンハンスメントテクノロジーにより4K相当の高画質映像を実現。コントラスト比250万:1、HDR10に対応し、3LCD技術により、くっきりシャープで色鮮やかでありながら自然な肌色トーンの映像を大画面に映し出します。

 

レーザーっぽいクセもなく、慣れ親しんだエプソントーンはそつがありません。ランプ交換不要のレーザーダイオードの寿命は2万時間でテレビのように毎日気兼ねなく使えるのもうれしいところ。

 

SONYのUHDプレーヤーUBP-X800M2とHDMI2入力で繋ぎいろいろなモードを試しながら観ましたが、最初に結論を示すと、映画に限らず全てのコンテンツで『シネマ』モードを基本に、『シーン適応ガンマ』や『HDR』はもっと上げても良く、映画を観るときだけ『フレーム補間』OFFに切り替えるのが良さそうです。

画質メニューはこのようなツリーになっています。大きく動かしても破綻しませんのでぜひ色々試してみて
画質メニューはこのようなツリーになっています。大きく動かしても破綻しませんのでぜひ色々試してみて

4Kらしさ溢れるみずみずしい映像

4K、24p、HDR10の映像はクリアーそのもの。『トップガン マーヴェリック』はもともとクリアーな映像で、フォーカスとボケも明確。パンやチルト、トラッキングも自然で、素早い動きのシーンが連続しても不自然になるところはありませんでした。

 

『グラディエーター』冒頭も、静かに夜明けを告げる鳥が飛び立ってからの戦闘シーンでは、戦闘とともに徐々に夜が明けていく変化までよくわかります。

 

これは従来からのエプソントーンなのですが、ツルツルテカテカ、滑らかな階調表現というよりも、どちらかというとドライで誇張感のない映像です。

 

また、明暗の切り替わりが多い映画ですが、『シーン適応ガンマ補正』を強め(デフォルトの2から9へ)にしても、シーンチェンジにともなう違和感はありません。レンブラント・ライティングといわれる蝋燭の灯火に照らされる人物の横顔、炎の揺らめきも自然です。

 

同様のことはリドリー・スコット監督『最後の決闘裁判』でも。また、雪の中での決闘シーンの寒々とした肌あいと表情、甲冑の輝き、妻と口論になるときの徐々に激昂してゆくマット・デイモンの紅潮していく表情もよく伝わります。

 

ポール・ヴァーホーベン監督『ベネデッタ』で注目したのは、衣装の違いが表現する「格」の違い。各修道女の来ている服の麻の肌理や色の微妙な違いもきちんち描き分けています。修道院長を演じたシャーロット・ランプリング、それを慕っていたルイーズ・シュヴィヨット演じるクリスティナのシミそばかすまでがリアルです。

ほぼ万能な『シネマ』モード

『バレットトレイン』のように、登場人物が色でコード化されているようなCGだらけのクリアーで明るい作品は、やはり観やすい。ただ下品にはなりません。

 

これはアニメーションでも然り。HDのBD『パプリカ』『千と千尋の神隠し』のように、強い輪郭線とのっぺりとした色のりとは一線を画すアナログタッチのふわりとした映像の表現は得意です。

 

HDのBDのライブ作品(60P、SDR)『TWICE TOURⅢ』は、明るく、浅く、影のないTVライティングの代表。超望遠で捉えたショットではカメラマンの意図を外れたピントずれもよくわかります。照明の明暗・グラデーションも段々にならず、スポットライトを浴びたメンバーの顔も飛びすぎません。終盤の「Merry & Happy」クリスマスシーンでは各メンバーがステージ下のカメラに寄ってきてアップになり、ファンにはたまらない映像となるでしょう。

 

同様にHDライブBD『Sound Stage Amy Grant』も肌合いが自然で、シルク調の衣装、髪、シミそばかす、キーボードの白い鍵盤、シンバルの煌めきも、『シネマ』モードのままでイメージ通りです。

 

モノクロの4KBD『薔薇の葬列』(1989)は、冒頭の、この世のものとは思えない純白っぷりを誇張表現した白飛び気味のシーン、纏わり付くフィルムの粒子、弱冠16〜7歳のピーターの金髪と長いつけまつげ、血は、カラー映像以上のリアルさで観る側に迫ってきます。

 

これも含めてエプソントーンなのですが、『グレイテスト・ショーマン』のヒュー・ジャックマンが着る燕尾服や、『マルホランド・ドライブ』でのナオミ・ワッツのアクアマリンの様な瞳、シレンシオで歌うステージの女性や緞帳は、よくSONYのVPL-VW200で観ていた記憶ではもうすこし紅いイメージなのですが、すこし控えめに映ります。

低画質な放送などでは「フレーム補間」もつかいこなそう

最後に放送について。NHK『ちむどんどんスペシャル』(BSP)も明るく、浅く、影のないTVライティングを自然に映しだしています。

 

ただ、BDディスク以外の放送や配信では、BSPのように高品位な映像ばかりではありません。地上波やCSなど画質が低めのアニメなどはとくに、映像がすだれ状で気になることも、その場合は躊躇なく『フレーム補間』を入れた方がよく、『シネマ』のデフォルトである「弱」から「標準」にしてしまっても破綻しません。たとえばテレビアニメ『レディバグ&シャノアール』では、BS11版はいいがテレビ東京版は簾だらけで厳しく、積極的に活用したいところです。

 

『シネマ』の『フレーム補間』の初期値が「弱」となっているのは、いちいちこうした切り替えをしなくても様々なコンテンツをほどよく観ることができるようにするための“中庸”を狙った設定と理解しました。

 

つまり、普段はテレビ放送やネット動画を視聴することが多いだろうから普段は『フレーム補間』を入れておき、映画コンテンツや高画質ソフトを観るときは『フレーム補間』を「オフ」にする。その程度の一手間はしたいところです。

まとめると、映画もドラマもライブも、24Pでも60Pでも、シーン毎にどこかの映像箇所に極端に引っ張られることがないバランスの良い映像。「ディレクターズインテンション」なるマジックワードとともに語られる”絵作り”がなく、じっくり作品内容に集中できます。観る人自身が作品の芸術性を選択して読み取ることができる、ある種控えめな“客観性”をもっています。逆に言えば、はっとする赤の表現やキラリとしたピーク輝度といった表現はむしろ抑えめ。自然で生成りの絵が好き、何を見ても画質調整したくならない完成度の高い映像は、ひろく万人にお勧めしたいところです。

サウンドも、テレビ内蔵よりずっとイイ!

EH-LS800は、EH-LS500に引き続きヤマハ製2.1chスピーカーを内蔵。サウンドバーの経験とDSP技術で培ったヤマハ独自の3Dサラウンドを本体だけでも再生できます。

 

デヴィット・バーンのBD『American Utopia』では、センターのヴォーカル定位が心配でしたが声も抜けが良く、背後の演者のタンバリンなどの鳴り物、位置関係も明瞭です。

 

4KBD『グラディエーター』冒頭の、鳥が飛び立つ音の位置関係、騎兵隊が移動していくシーンの定位と音場感も良好。そこから戦闘シーンが終わる明け方まで試聴しましたが、オーケストラの伴劇も雰囲気十分。サブウーファー的な重低音はないものの雰囲気は大画面クラスで、一般家庭のリビングならこれぐらいで十分では。DSPなども駆使してバランスを取っているのか、ボリュウム最大でもサウンドバランス含め破綻しないのは立派です。

 

正直期待していなかったしセンター感が希薄なのは2.1ch仕様なので仕方ないものの、別途安いサウンドバーを買うならこの内蔵スピーカーで十分良いと思わせます。

前面カバーを外したところ。ヤマハの内蔵スピーカーシステムは2.1ch
前面カバーを外したところ。ヤマハの内蔵スピーカーシステムは2.1ch

リビングなら色は絶対白、と思ったが・・・

カラーリングはブラックとホワイトの2色。

 

リビングのインテリアにはホワイトを合わせやすい。それは確かでしょうが、超短焦点プロジェクターは投写するスクリーンとの距離が近く、本体に当たる光も映り込みやすいんです。下の写真をご覧下さい。本体が照明を浴びる位置にあると、盛大に映り込みます。

 

というわけで、本体の真上に照明がある場合などには、映像を重視するなら黒もオススメです。

3つあるトップライトの真ん中をONにすると、白い本体に反射して映り込みます
3つあるトップライトの真ん中をONにすると、白い本体に反射して映り込みます

EH-LS800B/Wは、価格オープン、エプソンダイレクトショップ価格451,000円(税込)で発売中。

 

(取材・使用写真・文:遠藤)

(デモ機貸し出し提供:エプソン販売株式会社)

 

fy7dでも販売中! 下記よりお問い合わせを。

 

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