ソニーの新プロジェクターVPL-XW7000──これだけ揃ったらソニー流・超短焦点を期待せずにはいられない!

ソニーの2022年以降のプロジェクター戦略を占う

ソニーの2022年プロジェクターをご紹介いただける機会を得たので、ここに記します。

昨年21年までの4Kホームプロジェクターのラインナップは、VPL-VW875(価格オープン、実勢価格330万円)、VW775(価格オープン、実勢価格148.5万円)、VW575(価格オープン、実勢価格88万円)、VW275(価格オープン、実勢価格60.5万円)の3桁型番の4モデルでした。

 

今年22年は既報の通り、8月27日に発売されたVPL-XW7000(価格オープン、実勢価格187万円)とXW5000(価格オープン、実勢価格88万円)の4桁型番の2モデルに集約、レーザー光源(Z-Phosphor)に一本化されました。

この流れは、VPL-GT380などの業務用も含め、プロジェクターでもテレビでも、異なるデバイスであっても同じ絵を出すという「共通化」「質の一貫性」というソニーの中期経営計画の一環と言えます。厚木にあったプロジェクター事業部はテレビと同じ大崎に10月に移転、「トータルのエクスペリエンスをマルチデバイスで実現する」という目標に合わせて、オーディオも含め事業部も22年12月に再編。近年のクルマ業界と同様、開発リソースを集約するということです。

写真手前より、VPL-XW7000、XW5000、VW775
写真手前より、VPL-XW7000、XW5000、VW775

ハイエンドとスタンダードの2モデルに集約

プロジェクターに話を戻すと、XW7000はこれからのフラグシップとして187万円で330万円のVW875の絵を出す、XW5000は水銀ランプのスタンダードモデルVW575と同じ88万円でレーザー光源を実現する、というのが今回のラインナップの狙い。そして、ホームプロジェクターらしく4Kネイティブでもリビングに置ける現実的なサイズとコストを実現するため、パネルを0.74インチから0.61インチへと小型化したことがトピックです。

 

SXRDパネルを小型化しても平坦性を向上したことで反射率を10%UP、耐光性も50%向上。とくに小型化したことで新冷却システムには腐心したそう。

21年までのVW3桁に採用されていた0.74インチSXRDパネルブロック
21年までのVW3桁に採用されていた0.74インチSXRDパネルブロック
22年XWモデルの0.61インチSXRDパネルブロック
22年XWモデルの0.61インチSXRDパネルブロック

ソフト面ではテレビと同じX1 Ultimateチップをプロジェクター用にアレンジ。高性能なチップを利用することで、自由度は高まったようです。もっとも、テレビはバックライトをエリアないしチップ毎に個別に制御できますが、プロジェクターはそれができませんので、トーンマッピングで最適化しています(ダイナミックHDRエンハンサー)。

 

レンズは、XW7000は業務用GTZ380や従来のフラグシップVW875が採用するARC-Fに迫る新開発ACFレンズを採用しています(なお、XW5000は2KモデルのHW60ベースに新開発した新4Kレンズ)。さらに収差補正をデジタルで行うスチルカメラのαの技術「デジタルフォーカスオプティマイザー」も活用しています。

リビングで食事をしながらワールドカップ観戦も!

XW7000が持つ3200ルーメンという明るさは、150インチでもスクリーン輝度200ニット。通常のデジタルシネマの48ニット、ドルビーシネマの108ニットを大きく上回ります。

 

それを生かし、明るいリビングでも映像が白茶っ気ることのないようグリーンを明るく見せるなどして観やすくする「ライブカラーエンハンサー」を搭載しています。

 

さらに耐外光スクリーンなどと併用すれば、暗室でなくてもみんなで食事をしながらワールドカップ観戦や音楽ライブ映像などをテレビのように気軽に、それでいて大迫力で楽しめるというわけです。

 

リビングに集い美味しい食事をしながら大画面を囲むのがこれからのホームシアターのスタイル。さらなる高輝度化に加えデバイスも小型化、デジタルフォーカスオプティマイザーなどが相まって、VZ1000以来ご無沙汰となっているソニーらしい超短焦点プロジェクターの新たな姿が50万円以下で見られるのではないかと勝手に期待しています。

 

(取材・写真・文:遠藤)

2015年にLife Space UXで誕生した4K超短焦点プロジェクターLSPX-W1S
2015年にLife Space UXで誕生した4K超短焦点プロジェクターLSPX-W1S