「生産性が無い人々に税金を使うのは無駄という風潮に抗いたい」──『アダマン号に乗って』特報

『アダマン号に乗って』4月28日公開

本年度ベルリン国際映画祭コンペティション部門で最高賞の金熊賞を受賞した日仏共同製作によるニコラ・フィリベール監督最新作『ON THE ADAMANT』(英題)の邦題を、『アダマン号に乗って』とし、4月28日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかで全国公開が決定。ビジュアルと特報も公開されました。

「今日もここにはいろんな人たちがやってきます。」のコピー通り、絵画を制作したり、ダンスを踊ったり、ピアノを弾いたりといった生き生きと魅力的なこの場所と、ここにやってくる人々の姿が映し出されています。

 

本作は本年度コンペティション部門のなかでも唯一のドキュメンタリーであり、これまでにも金熊賞の名誉に輝いたのはわずかです。

 

手掛けたのは、多様性が叫ばれる以前から多様な存在や価値が共にあることを淡々と優しい眼差しで映し続けてきた、『ぼくの好きな先生』(02)のニコラ・フィリベール監督。

 

金熊賞受賞時のスピーチで、監督は次のようにコメントしています。

 

「ドキュメンタリーとフィクションを区別せずに賞を与えてくれたことに感謝している。精神疾患への人々が抱く偏見を変えたいし、生産性が無い人々に税金を使うのは無駄という風潮に抗いたい」

 

当初、来春日本公開予定でしたが、ニコラ監督の「日本の観客にいち早く届けたい」という強い思いと、金熊賞受賞後の国内外のメディアや映画ファンからの大きな反響を受け、4月のフランス公開から日を開けず4月28日(金)の公開が緊急決定しました。

 

監督に惚れ込んで20年来の交流を持つ配給会社ロングライドが、『人生、ただいま修行中』(18)に続いて、日仏共同製作で参加しています。

精神科医療の「奇跡」の現場

舞台は、パリの中心地・セーヌ川に浮かぶ木造建築の船。ユニークなデイケアセンター「アダマン号」。精神疾患のある人々を迎え入れ、文化活動を通じて彼らの支えとなる時間と空間を提供し、社会と再びつながりを持てるようサポートをしています。

 

運営するのは、精神科医療の世界で起こる“質の低下”や“非人間化”の波にできる限り抵抗しようとするチーム。患者もスタッフも区別なく、誰しもにとって生き生きと魅力的なこの場所を監督は「奇跡」と呼んで、ここにやってくる人たちに寄り添い、優しい眼差しで捉え見つめ続けています。

 

『アダマン号に乗って』は、4月28日公開。

 

 

[作品情報]

『アダマン号に乗って』

原題:Sur L’Adamant

監督:ニコラ・フィリベール

2022年/フランス・日本/フランス語/109分/アメリカンビスタ/カラー

 

日本語字幕:原田りえ 

共同製作・配給:ロングライド 

協力:ユニフランス

© TS Productions, France 3 Cinéma, Longride – 2022