かけがえない伝統工芸をも写し取るモロッコ映画『青いカフタンの仕立て屋』公開決定!

『青いカフタンの仕立て屋』6月16日公開

2022年カンヌ国際映画祭国際映画批評家連盟賞受賞『THE BLUE CAFTAN』(英題) の邦題を『青いカフタンの仕立て屋』とし、6月16日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかにて全国公開されることが決定。場面写真も公開されました。

© Les Films du Nouveau Monde - Ali n’ Productions - Velvet Films – Snowglobe

公開された場面写真は、モロッコの片隅にたたずむカフタンの仕立て屋の日常が切り取られた11点。

 

夫婦とユーセフの3人が楽しげに食卓を囲む風景や、職人のハリムが色とりどりのカフタンを丁寧に仕立てる様子、幾何学模様のタイルが美しいカフェでのワンシーンなどが映し出されています。

 

モロッコのセンシティブな問題を国際社会に紹介した本作は、2022年カンヌ国際映画祭国際映画批評家連盟賞のほか、2023年米アカデミー賞モロッコ代表として国際長編映画賞のショートリスト(最終候補15本)にも選出されるなど、国際的に高い評価を受けています。

 

主人公・ミナを演じるのは、『モロッコ、彼女たちの朝』(19)で、最愛の夫の死に沈むアブラを演じたルブナ・アザバル。死期迫るミナを体現するために過酷なダイエットを行い、最期の瞬間まで夫に愛と勇気を捧げる妻を熱演しています。

 

ミナとの別れを受けとめきれずに立ちすくむカフタン職人のハリムには、『迷子の警察楽隊』(07)のサーレフ・バクリ。内なる情熱と本心を隠す悲しみを、吸い込まれるような瞳で訴えかけます。

 

複雑な夫婦の愛にさざ波を起こす若い弟子のユーセフは、本作が映画初出演のアイユーブ・ミシウィが演じています。

 

マリヤム・トゥザニ監督は本作について「愛する人にありのままの自分を受け入れてもらう。人生においてこれほど美しいことがあるだろうか」とコメントを寄せています。

最期が迫る妻と夫が下した決断、その深い愛に涙

2021年モロッコの劇映画として初めて日本公開され大ヒットを記録した『モロッコ、彼女たちの朝』で、異国情緒あふれるパン屋を舞台に、心に孤独を抱えた2人の女性の連帯と希望を描いたマリヤム・トゥザニ監督が、最新作で描いたのは、カフタンドレスの仕立て屋を営む夫婦の物語。

 

カフタンドレスとは、結婚式や宗教行事などフォーマルな席に欠かせないモロッコの伝統衣装で、母から娘へと世代を超えて受け継がれる着物のようなもの。

 

伝統を守る仕事を愛しながら自分自身は伝統からはじかれた存在と苦悩し真の自分を隠して生きるハリムとその妻のミナが本作の主人公です。

 

職人気質の夫を誰よりも理解し支えてきたミナは、病に侵され余命わずか。そこに若い職人のユーセフが現れ、3人は青いカフタン作りを通じて絆を深めていきます。

 

刻一刻とミナの最期の時が迫るなか、夫婦は“ある決断”をします。彼らが導き出した答えとは。その深い愛と選択に、思わず涙があふれ出すこと請け合いです。

 

モロッコの日常をスケッチしたコーランが響く旧市街、新鮮なタンジェリンが並ぶ市場や大衆浴場(ハマム)、男たちがミントティーを楽しむカフェといった“素顔のモロッコ”も見逃せない本作。

 

さらに伝統を守る仕立て職人の指先にレンズを向け、色とりどりの滑らかなシルク地に刺繍する繊細な手仕事をクローズアップし、一針、一針、想いを込めながらドレスを紡いでいくモロッコの伝統工芸のかけがえのない美しさも伝えてくれます。

 

『青いカフタンの仕立て屋』は、6月16日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかにて全国公開。

 

[作品情報]

『青いカフタンの仕立て屋』

英題:THE BLUE CAFTAN

監督・脚本:マリヤム・トゥザニ

出演:ルブナ・アザバル サーレフ・バクリ アイユーブ・ミシウィ

2022年/フランス、モロッコ、ベルギー、デンマーク/アラビア語/122分/ビスタ/カラー/5.1ch

字幕翻訳:原田りえ  

提供:WOWOW、ロングライド 

配給:ロングライド 

公式サイト:https://longride.jp/bluecaftan/

© Les Films du Nouveau Monde - Ali n’ Productions - Velvet Films – Snowglobe