代わりなんていくらでもいる──『アシスタント』ポスター公開

『アシスタント』6月16日公開

『ジョンベネ殺害事件の謎』(17)で知られるドキュメンタリー映画作家のキティ・グリーンがハリウッドを発端に巻き起こった「#Me Too運動」を題材に制作した映画『アシスタント』が、6月16日(金)より新宿シネマカリテ、恵比寿ガーデンシネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国公開中。このたび、ハラスメントが積み重なる主人公の24時間をテーマにしたポスターが公開されました。

このたび公開されたポスターは、「戦場のメリークリスマス4K」「WKW 4K」「エゴイスト」などを手がけたデザイナー・成瀬慧によるもの。

 

まだ暗いうちからタクシーで出社する早朝、上司に関係を強要されたであろう女性のイヤリングを見つけた午前中、お茶汲みの間に受ける先輩からの仕打ち、休憩を終えたかと思えば子守を押しつけられる午後…静かで確実に積み重なっていくダメージに耐える主人公ジェーンの24時間シーンカットをベースに制作されています。

 

成瀬は次のようにコメントしています。

 

「主人公ジェーンは、常に女性の誰にでも置き換え可能な存在として会社にいます。一日の中で彼女がそう感じたことがいくつあっただろうか。この映画がサスペンスとして見えてきたとき、置き換え可能な存在かもしれない自分、という不安と共鳴しているのかもしれません。オフィスの蛍光灯は彼女の存在を、会社のデスクや壁に馴染むくらいにしか照らしてくれません。ステーショナリーの方がカラフルで目立っているかも知れません。そんな彼女の存在を照らす微小な光を探し、増幅させながら、彼女のコントラストを映画の外で浮かび上がらせました。それは希望の光とかではなくて、他者に纏っている光や色があることを認識して、ジェーンは次の日を迎えるべきと思うからです」

社会に蔓延するパワハラ、性的虐待システムへの告発

本作は『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』(22)にも連なる、職場のパワハラや性的虐待を許容し蔓延させているシステムへの痛烈な告発とも言える作品。

 

名門大学を卒業したばかりのジェーン(ジュリア・ガーナー)は、映画プロデューサーという夢を抱いて激しい競争を勝ち抜き、有名エンターテインメント企業に就職。業界の大物である会長のもと、ジュニア・アシスタントとして働き始めます。

 

しかしそこは、華やかさとは無縁の殺風景なオフィス。早朝から深夜まで平凡な事務作業に追われる毎日。常態化しているハラスメントの積み重ね……しかし、彼女は自分が即座に交換可能な下働きでしかないということも、将来大きなチャンスを掴むためには、会社にしがみついてキャリアを積むしかないこともわかっています。

 

ある日、会長の許されない行為を知ったジェーンは、この問題に立ち上がることを決意するも――。

 

ニューヨーク・タイムズスクエアの裏手にある薄汚れたオフィスで、18日間という短期間で撮影された本作。映画プロデューサーを目指して大手エンターテイメント会社で働き始めた若く野心ある新人アシスタントの一日の物語を通して、映画業界を舞台にしながら、さまざまな職場が抱える問題とヒエラルキー最下層の人々に共通する経験を浮き彫りにし、サンダンス・ベルリンを始めとした世界中の映画祭や各メディアによって高く評価されました。

 

『アシスタント』は、6月16日(金)より新宿シネマカリテ、恵比寿ガーデンシネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて公開中。

 

[作品情報]

『アシスタント』

原題:The Assistant

監督・脚本・製作・共同編集:キティ・グリーン

出演:ジュリア・ガーナー、マシュー・マクファデイン、マッケンジー・リー 

製作:スコット・マコーリー、ジェームズ・シェイマス、P・ジェニファー・デイナ、ロス・ジェイコブソン|サウンドデザイン:レスリー・シャッツ |音楽:タマール=カリ|キャスティング:アヴィ・カウフマン|2019年|アメリカ|英語|87分|2:1|カラー| 

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配給・宣伝:サンリスフィルム