気鋭の“イベロアメリカ”ブラジル人監督が現代に問いかける『ペルリンプスと秘密の森』特報

『ペルリンプスと秘密の森』12月公開

『父を探して』で第88回アカデミー賞⻑編アニメーション賞にノミネートされた“イベロアメリカ”の最重要作家のひとりアレ・アブレウ監督の最新作『ペルリンプスと秘密の森』が12月に公開。このたび、特報とティザーポスター及びシーン写真が公開されました。

特報は、それぞれ正反対の世界から魔法の森にやってきた2人が森を救うといわれる謎の存在「ペルリンプス」の手がかりを探し大冒険を繰り広げる様子を捉えたもの。

 

当初は反発していた2人が、共通の目的のために結束し、やがて音と光に導かれてカマドムシクイのジョアンという鳥の姿をした老人のもとに辿り着きます。

 

めくるめく色の洪水のような色彩表現も本映像の魅力のひとつ。監督が本作の色彩表現についてパウル・クレーの「本当は、色が私たちを支配しているのであって、その逆ではない」という言葉を引用するように、本作独自のカラーパレットから生み出された独自の色彩には思わず息をのみます。

 

ティザーポスターは、冒険の中、クラエとブルーオがカマドムシクイのジョアンと3人で、ともに美しい夜空を見上げる様子を切り取ったもの。

 

「ひとりぼっちじゃないって素敵なこと」と添えられたコピーが、異なる者同士が少しずつ歩み寄りわかり合っていくことの美しさを伝えるようなビジュアルとなっています。

 

シーン写真5点は、いずれも魔法の森での様子を捉えたもの。「まずは紙の上で、次にコンピューター上で実験を重ね、最も意味のある色の組み合わせを生み出した」と監督が明かす、まるで水彩画で描かれた絵画のような色彩の世界が体感できるものとなっています。

多彩な要素を融合した音楽も必聴

陽気で軽やかな音楽を担当したのはアンドレ・ホソイ。彼が率いるパーカッショングループ「Barbatuques(バルバトゥッキス)」は、監督と書き下ろした主題歌「Daqui prá lá, de lá prá cá (pra Naná) 」(From here to there, from there to here (for Naná))を担当しています。

 

中国、ベネズエラ、コロンビアの楽器を使い、多様な音色で音でもカラフルで異なる要素が融合した強さを表現。カエターノ・ヴェローゾ やジルベルト・ジルと並ぶムジカ・ポプラール・ブラジレイラの代表的ソングライター、ミルトン・ナシメントの「Bola de Meia, Bola de Gude」のインストルメント曲も映画の中核をなし心地よい没入感へと観客を誘います。

気鋭のブラジル人監督アレ・アブレウ

アレ・アブレウは、彗星のごとく現れた気鋭のブラジル人監督。

 

一人の少年の目を通して描く南米大陸の歴史と冒険の物語である映画『父を探して』で、2014年アヌシー国際アニメーション映画祭クリスタルアワード(最高賞)&観客賞をW受賞、2016に新設されたアニー賞⻑編インディペンデント作品賞(のちに『ウルフウォーカー』や『未来のミライ』が受賞)を受賞したほか、2016年アカデミー賞⻑編アニメーション賞に南米の⻑編アニメ作品として初ノミネートしました。

 

前作はダイアローグのない作品でしたが、本作では主人公が2人になったことで対話が生まれ、セリフが生まれました。異なる者同士が同じ目的のために違いを超えて手を組むとき、個人の才能を超えた大きな力が生まれ、仲間がいることへの安心感や幸せは、より良い未来のための一歩を踏み出すエネルギーとなっていきます。

 

アマゾンの保全が大きな課題であり責任でもあると感じているブラジル人監督の目にはやりきれない現実が映っていますが、同時に「子どもの澄んだ目で見つめると光のような希望が見えてくる」と、本作について語っています。

森を守る…現代へ問いかける

テクノロジーを駆使する太陽の王国のクラエと自然との結びつきを大切にする月の王国ブルーオの二人の秘密エージェントは、巨人によってその存在を脅かされる魔法の森に派遣されています。

 

森を守る唯一の方法は、光という形でこの森に入り込んだ「ペルリンプス」を見つけること。敵対していた二人は共通する目的のために協力し合うことに。しかし平和をもたらすという謎の生物を探すうちに、物語は思いがけない結末にたどり着きます。そこに隠された現代への問いかけとは…?

 

『ペルリンプスと秘密の森』は12月公開。

 

[作品情報]

『ペルリンプスと秘密の森』

原題:Perlimps

脚本・編集・監督:アレ・アブレウ(『父を探して』) 音楽:アンドレ・ホソイ/オ・グリーヴォ

2022年 ブラジル/スコープサイズ/80分

日本語字幕 星加久実 

後援:在日ブラジル大使館 

配給:チャイルド・フィルム/ニューディアー

(c) Buriti Filmes, 2022