森山未來と藤竜也が初共演『大いなる不在』トロント国際映画祭コンペティション部門に選出

森山未來主演『大いなる不在』2024年公開予定

森山未來が主演し、藤竜也、真木よう子、原日出子が共演する近浦啓監督の第二作目『大いなる不在』(英題: GREAT ABSENSE)が、第48回トロント国際映画祭のコンペティション部門に選出されたことが発表されました。それに合わせてキャストが発表となり、海外版ポスターが初公開されました。

本作品は、芸術的価値が高く力強く監督のビジョンを示している作品を中心に選ばれるコンペ部門「プラットフォーム部門」。過去には第89回ア カデミー賞作品賞となった『ムーンライト』がこの部門で上映されたこと から、アカデミーの前哨戦として特に注目されます。

 

日本人監督としてこのコンペティション部門に招待されるのは、黒沢清 監督(『タゲレオタイプの女』2016)以来、2人目。

 

本作では、森山未來演じる主人公の父親を藤竜也が、妻を真木よう子が演じ、物語で重要な鍵となる父親の後妻には原日出子が抜擢されました。

 

森山は次のように本作をアピールしています。

 

「この度は『大いなる不在』が評価され、トロント国際映画祭のコンペティション部門という名誉あるセクションに選ばれたことを、心から光栄に思います。ある種の虚構の世界で生きる父にまるで俳優のように寄り添い、やがては世界に溶けていく彼を穏やかに見守る。近浦監督の実体験に着想を得たそんな物語に役者として参画するという、不可思議なレイヤーの海の中で揺れていた北九州での記憶が甦ります。トロントでの上映を経て、多くの方にこの作品を観ていただけることを願っています」

 

藤は次のように振り返ります。

 

「2022年、年が明けて間もないころ、近浦監督から新作のオファーを頂いた。『Empty House』『コンプリシティ/優しい共犯』に続いて3回目のご指名だった。嬉しかった。光栄なことだと思った。でも、期待に応えられるかどうか心配だった。台本を読んだ。読んだ、読んだ。私が演ずる男が好きになった。物理学を研究して、その分野で名を残したが、うんと普通で、煩悩にまみれた男。純粋ばかのおとこ。私は新幹線のように素早く、この男の中の入りこめたように思います。『大いなる不在』の試写を見ました。私の魂のどこかにくらった重い衝撃!これは何だろう?無理に分析したら、大切な何かが行方不明になりそう。この映画は、一人ひとりの見る側と、近浦さんの映画との会話で成り立つのではないかと思った」

 

原は次のように感謝を述べています。

 

「この度は出演作『大いなる不在』が、栄誉ある映画祭のコンペティションに選出されました。このような素晴らしい作品に出逢えましたこと、心から感謝いたします。そして近浦監督をはじめ映画制作に携わった全ての方たちにお祝い申し上げます。ある種ドキュメンタリーのようなリアリズムと、計算され、完成され尽くした作品作りの中で直美の役を生きた時間は私にとってかけがえのない時間となりました。素晴らしい作品に参加できたことを光栄に思います。是非世界の舞台に羽ばたいていって欲しいです」

 

真木は次のようにコメントしています。

 

「私は、初めて生きている、歩く芸術に目を奪われた。それが森山未來の仕草であった。なんて美しく、気高く、女の私が敗北をくらった、許すまじ森山未來。台本を頂き、キャストの名を聞き、恐らくその頃からこの様な名誉を頂く作品だという事を疑う事すら愚かな事だと感じた様に思います。だけど、多くの人には共感させない。お目が高い人だけご覧下さい」

 

近浦監督は、次のようにアピールしています。

 

「この映画は、その名の通り『不在』についての映画です。『ない』何かに向けて目を凝らすことは、その輪郭を形づくる『ある』何かに対して思索を深めることになります。そんな抽象的な考えを具象化し、ミステリー傾向の高いエンタテイメント映画に仕上げたい、という想いでスタートしました。日本が誇る役者の方々、そして、技術者の方々が集まってくれたことにこの場を借りて深く感謝いたします。トロント国際映画祭のコンペティションという大きな舞台でこの映画が船出できることをとても嬉しく思います。いつかきっとこの航海が、日本の劇場に辿り着きますように。心から願っています」

監督、キャストが映画祭出席予定

監督を務めるのは近浦啓。長編デビュー作『コンプリシティ/優しい共犯』(18)が、トロント、ベルリン、釜山などの国際映画祭に正式招待され、本作が2作目の長編作品となります。

 

スタッフは、『誰も知らない』『海よりもまだ深く』などの多くの是枝裕和監督の作品を支えた山崎裕が『コンプリシティ/優しい共犯』に続き撮影を担当、全編35mmフィルム撮影されました。

 

サウンドミックス・ デザインには、『ドライブ・マイ・カー』などの野村みき・大保達哉のユニット P.A.T Works が担当。音楽は、これが長編映画初劇伴作品となる新進気鋭の作曲家糸山晃司が担当しています。

 

本作は、コンペティション部門にノミネートされた10作品の中から選出される「プラットフォーム・アワード」に加え、すべての上映作品から選ばれる「観客賞」(ピープルズチョイス・アワード)の対象となっており、映画祭期間中にキャストの森山未來、藤竜也、真木よう子、原日出子が、揃って映画祭に出席予定です。

 

『大いなる不在』は、2024年日本公開予定。

 

[作品情報]

『大いなる不在』

監督・脚本:近浦啓 共同脚本:熊野桂太 

出演:森山未來、藤竜也、真木よう子、原日出子 ほか 

助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会

特別協力 北九州フィルム・コミッション

製作:クレイテプス 

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