『ジャム DJAM』『ガッジョ・ディーロ』デジタルリマスター版9月29日公開
エーゲ海の大衆音楽に彩られたガールズ・ロードムービー『ジャム DJAM』(17)、ロマ音楽の魅力が全編にあふれ日本でもスマッシュヒットした傑作『ガッジョ・ディーロ』(97)が、デジタルリマスター版として9月29日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほかで順次公開決定。あわせて、予告編とポスタービジュアルが公開されました。
予告編は、『ガッジョ・ディーロ』はロマの音楽、『ジャム DJAM』ではギリシャのブルーズとも言われる音楽レンベティカ、それぞれの作品の陰の主役ともいえる音楽が全編に鳴り響くもの。音楽にあわせて人々が踊り、食べ、歌い、悩んで、泣き笑う。いずれも、主人公や関わる人々の人生そのものが溢れ出てくるような映像となっています。
ポスタービジュアルは、自らのいるべき場所を見つけようともがき、そして少しずつ放たれる主人公2人のまばゆい瞬間を切り取ったもの。『私のいる世界。そこには必ず歌があった。』『酒と仲間と音楽があれば、人生はいつだって輝く』…それぞれのポスターに添えられたキャッチコピーが、ガトリフ監督自身からの力強いメッセージを感じさせるものとなっています。
『ジャム DJAM』
ロマの人々をテーマに映画を撮り続けてきたトニー・ガトリフ監督が描き出す、自由奔放なガールズ・ミュージカル・ロードムービー。
© 2017 Princes Productions - Pyramide Productions - Auvergne-Rhône Alpes Cinéma - Blonde - Güverte Films - Princes Films
音楽とダンスをこよなく愛するギリシャ人の女性ジャムは、レスボス島でレストランを経営する元水兵の継父カクールゴスとふたりで住んでいます。ある日、船のエンジン部品を調達するため、カクールゴスの代わりにトルコ・イスタンブールへ出かけることに。そこで彼女はフランスから難⺠支援のボランティアに来たアヴリルと出会います。喧嘩あり、出会いあり、涙あり、笑いあり…そして音楽に満ち溢れた、ふたりの波乱万丈の旅が始まります。
劇中を彩るのは、古代ギリシアの詩人、サッフォーの伝説が残るレスボス島、どこまでも⻘いエーゲ海、さらには美しいイスタンブールの街並み。そこに育まれた文化とともに映し出された、歴史の刻まれた景色。そして、本作の主役のひとつはジャムが歌う、ギリシャのブルーズとも言われる音楽レンベティカ。音楽を愛し、音楽と生きるジャムと周囲の人々の魂の底から溢れ出す歌と踊りは、彼らの喜びや悲しみに寄り添いながら、生そのものをのびやかにうたい上げます。
大胆不敵な主人公ジャムを演じるのは、ポール・バーホーベン監督『ベネデッタ』(2021)、レア・ミシウス監督『ファイブ・デビルズ』(2022)に出演するなど近年最も注目される女優ダフネ・バタキア。劇中の歌は全て本人が披露しているほか、レベティコを演奏する楽器やベリーダンスも習得し、野生的なエネルギーを漲らせて輝くヒロインを見事に体現。
ジャムを見守る継父カクールゴス役には、『007 カジノ・ロワイヤル』(2006)、『レストレス』(2022)などの映画、舞台で活躍するシモン・アブカリアンが演じています。
『ガッジョ・ディーロ』
1997年のロカルノ国際映画祭で銀豹賞、主演女優賞はじめ5部門で受賞、同年のモントリオール世界映画祭では特別賞を受賞するなど国際的に高く評価された、異文化とのコミュニケーションを描く金字塔。トニー・ガトリフ監督の傑作として愛され続ける作品が、デジタルリマスター版として再びスクリーンに蘇ります。
© Princes Films 1997
父が遺したカセットテープを頼りに、幻の歌姫を探して彷徨うフランス人⻘年のステファンは、ある日ロマの村に、たどりつきます。村人たちは異国から来たよそ者に冷たい態度をとるものの、なぜか酔いどれの老楽士イジドールは彼を気に入り、無理やり自分の家に滞在させることに。父が愛したロマの音楽、パワフルな女性サビーナとの恋…村の人々の生活と文化に触れ、徐々に仲間として受け入れられるステファンでしたが、ある日事件が起こって…。
色鮮やかな衣服や花の香りを身に纏った女性たちのダンスや歌声、実際にロマの楽士であるイジドール・サーバンをはじめとする男たちの力強い演奏はまさに圧巻で、ロマの歴史と彼らが置かれる過酷な状況を鮮烈に描き出してゆきます。
ステファン役はミシェル・ゴンドリー監督『ムード・インディゴ うたかたの日々』(2013)、フランソワ・オゾン監督『彼は秘密の女ともだち』(2014)、近年では日本の大ヒット映画のフランス版リメイク『キャメラを止めるな!』(2022)でも主演を務めたロマ ン・デュリス。
サビーナを演じるのは、歌手としても活躍するローナ・ハートナー。厳しい環境でも決して希望を失わないロマの人々へのリスペクトに満ちたあたたかな眼差しは、製作から四半世紀経った現代においても色あせることはありません。
トニー・ガトリフ監督
1948年、アルジェリアでロマの血を引く一家のもとに生まれました。アルジェで少年時代を過 ごしたのち、フランスに渡って放埓な生活を送っていましたが、パリ国立高等美術学校で演技や映画製作を学び、1975年に “La Tête en ruines”で⻑編デビュー。インドからスペインのアンダルシアまでのロマの歩みを、音楽を通して描き出すドキュメンタリー『ラッチョ・ドローム』(93)がカンヌ国際映画祭のある視点部門で注目を浴びた後、ロカルノ国際映画祭銀豹賞をはじめ数々の賞を受賞した『ガッジョ・ディーロ』(97)、カンヌ国際映画祭監督賞を受賞した『愛より強い旅』(04) で国際的な名声を確立。また俳優としてもオタール・イオセリアーニの『皆さま、ごきげんよう』 (15)などに出演する ほか、作曲家として『ガッジョ・ディーロ』、『ベンゴ』(00)でセザール賞作曲賞を受賞するなど多才ぶりを発揮しています。
『ジャム DJAM』『ガッジョ・ディーロ』は、9月29日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷ほかで全国順次公開。
[作品情報]
『ジャム DJAM』
原題 : DJAM
監督・脚本:トニー・ガトリフ
出演:ダフネ・パタキア、シモン・アブカリアン、エレフセリア・コミ、ヤニス・ボスタンツォーグロウ
撮影:パトリック・ギリンゲッリ│編集:モニック・ダルトンヌ│音楽:フィリップ・ウェルシュ
2017年│フランス・ギリシャ・トルコ│カラー│97分
© 2017 Princes Productions - Pyramide Productions - Auvergne-Rhône Alpes Cinéma - Blonde - Güverte Films - Princes Films
『ガッジョ・ディーロ』
原題:Gadjo Dilo
監督・脚本・音楽:トニー・ガトリフ
出演:ロマン・デュリス、ローナ・ハートナー、イジドール・サーバン 撮影:エリック・ギシャール│編集:モニック・ダルトンヌ│美術:ブリジット・ブラッサール │1997 年│フランス・ルーマニア │カラー│100 分
© Princes Films 1997