クリストファー・ノーラン、悲願のオスカー「第96回アカデミー賞授賞式」

「第96回アカデミー賞授賞式」3月11日開催

3月11日(現地時間は3月10日)、ロサンゼルスのドルビー・シアターで「第96回アカデミー賞授賞式」が開催され、最多ノミネート(13部門ノミネート)の『オッペンハイマー』が作品賞、監督賞(クリストファー・ノーラン)、主演男優賞(キリアン・マーフィ)、助演男優賞(ロバート・ダウニー・ジュニア)など最多の7冠を獲得。主演女優賞は『哀れなるものたち』のエマ・ストーンが『ラ・ラ・ランド』に続いて2度目の受賞。助演女優賞は『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』のデヴァイン・ジョイ・ランドルフが初受賞となりました。

ロイターAFPアフロ

日本作品では山崎貴監督の『ゴジラ-1.0』が日本映画として初の視覚効果賞(山崎貴、渋谷紀世子、髙橋正紀、野島達司)を受賞、スタジオジブリの宮崎駿監督『君たちはどう生きるか』が長編アニメ映画賞(宮崎駿、鈴木敏夫)に輝くという快挙を達成。宮崎監督にとっては『千と千尋の神隠し』以来、21年ぶりの同賞受賞となりました。

ゴズリングがピンクの衣装で熱唱!

授賞式は、昨年に続いて司会を担当するジミー・キンメルがマーゴット・ロビーと共にマーゴット主演の『バービー』の一場面を再現した映像でスタート。4つの俳優部門の授与に際し、近年では前年度の受賞者がプレゼンターを務める方式が慣例となっていましたが、今年は過去の受賞者5名が登壇するという豪華な演出に!

 

授賞式前半は11部門ノミネートの『哀れなるものたち』がメイクアップ・ヘアスタイリング賞、美術賞、衣装デザイン賞とスタッフ部門を次々と制しリードしていましたが、『オッペンハイマー』はロバート・ダウニー・ジュニアの助演男優賞(初)を皮切りに、編集賞、撮影賞、作曲賞を獲得し追い上げを見せます。

 

さらにキリアン・マーフィが主演男優賞(初)を受賞し、そのままの勢いで監督賞、作品賞にも輝き、最多7冠を獲得。これまで“無冠の帝王”と称されてきたクリストファー・ノーランが悲願のオスカーを獲得。監督賞の授与ではプレゼンターを務めたスティーヴン・スピルバーグと壇上で抱擁を交わしました。

 

『哀れなるものたち』は3つのスタッフ部門での受賞に加えて、エマ・ストーンが主演女優賞(2度目)を受賞し計4冠を獲得。エマは壇上で

、プレゼンターを務めた歴代の受賞者であるミシェル・ヨー、ジェシカ・ラング、サリー・フィールド、ジェニファー・ローレンス、シャーリーズ・セロンと抱擁し、涙ながらに「素晴らしいみなさんと一緒に受賞した気持ちです。みなさんから大きな刺激を受けました」と感謝を述べました。

 

アーノルド・シュワルツェネッガーとダニー・デヴィートがプレゼンターを務めた視覚効果賞で受賞作として『ゴジラ-1.0』が呼ばれると、山崎貴監督らは歓喜の表情を浮かべ壇上へ。山崎監督は「「40年以上前に『スターウォーズ』と『未知との遭遇』を見たショックからキャリアをスタートさせた私にとって、この場所は望む事すら想像しなかった場所でした。ノミネートの瞬間、私たちはまさにロッキー・バルボアでした。強大なライバルたちの前でリングに立たせてもらえた事はすでに奇跡でした。しかし私たちは今ここに居ます。この場所から遠く離れた所でVFXを志しているみんな! ハリウッドが君たちにも挑戦権がある事を証明してくれたよ! 最後にスタッフキャストを代表して、去年失った我々のプロデューサー、阿部秀司さんに言いたいです。「俺たちはやったよ!」 ありがとうございました!」と喜びを語りました。なお、視覚効果賞を監督が受賞するのは『2001年宇宙の旅』のスタンリー・キューブリック以来、55年ぶり史上2人目の快挙です。

 

日本からはヴィム・ヴェンダース監督が役所広司を主演に日本で撮影を行なった『PERFECT DAYS』が国際長編映画賞にノミネートされて

いたものの、残念ながら受賞はなりませんでした。

 

この一年で亡くなった映画人を追悼するコーナーでは、昨年3月に他界した音楽家の坂本龍一が映し出されました。

 

このほか、ビリー・アイリッシュとフィニアス・オコンネルが『バービー』の“What Was I Made For?”で歌曲賞を獲得。2人は第94回の『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の主題歌“No Time To Die”での歌曲賞に続く2度目のオスカー獲得となりました。

 

なお、『バービー』からは、ライアン・ゴズリング演じるケンが歌う“I’m Just Ken”も歌曲賞にノミネートされており、授賞式ではゴズリングがケンそのままのピンクの衣装で同曲を熱唱し、楽曲を手掛けたマーク・ロンソンとギタリストのスラッシュ、共演者のシム・リウ、キングズリー・ベン=アディルと共に圧巻のパフォーマンスを披露し、場内総立ちの喝采を浴びました。

日本映画受賞者のコメント

第96回アカデミー賞で山崎貴監督の『ゴジラ-1.0』が視覚効果賞を、宮崎駿監督『君たちはどう生きるか』が長編アニメ映画賞をそれぞれ受賞しました。

 

受賞直後に舞台裏で山崎監督は次のようにコメントしています。

 

「(今回の受賞が日本の映画界に及ぼす影響について尋ねられ)まだそこまで実感がわかないですが、ひとつは、日本の映画が海外でもある程度、興行していければ、日本の映画の環境も変わっていくし、僕らで変えていかないといけないんじゃないかと思います。そのためにもこれからの行動がすごく重要になっていくと思います。」

 

「(作品賞、監督賞を含む最多7冠獲得の『オッペンハイマー』と『ゴジラ-1.0』は、ある意味で“合わせ鏡”のような存在なのではない

か?との指摘に)おそらく、作っている時は全くそういうことは意図されていなかったと思いますが、出来上がった時に世の中が非常に緊張状態になっているということは運命的なものを感じます。やはり、『ゴジラ』というのは、戦争や核兵器の象徴でもあるゴジラをなんとか鎮めるという話だと思いますが、“鎮める”という感覚を世界がいま欲していて、それが世界でのヒットにつながっているんじゃないかと思います。それとは別に僕の個人的な思いとして『オッペンハイマー』に対するアンサーの映画は、日本人としていつか作らないといけないんじゃないかと思っています」

 

『君たちはどう生きるか』の宮崎駿監督と鈴木敏夫プロデューサーは授賞式を欠席しましたが、スタジオジブリの中島清文代表取締役副社長が現地にて、鈴木敏夫プロデューサーのコメントを次のように発表しました。

 

「長編アニメ映画賞をいただいたこと、大変光栄に思います。アカデミーに感謝申し上げます。そして、この作品の製作に携わった方々、世界で配給をしてくれた関係の皆様に感謝申し上げます。この作品は宮﨑駿監督の引退の撤回から始まりました。そして製作に7年もの歳月を費やしてしまいました。前作『風立ちぬ』からは、10年ぶりで、映画を取り巻く環境もすっかり変わってしまいました。本当に難産でした。そうしたことを乗り越えて生まれた作品が、世界中の多くの皆さんに観ていただけたこと、そしてこのように評価をいただけたことをとても嬉しく思います。宮崎も私も随分と年を重ねてしまいました。この年齢でこのような栄誉に浴せることに感謝申し上げるとともに、『もっと働け』とい

うメッセージだと受け止めて、これからも精進してまいりたいと思います。本当にありがとうございました」

第96回アカデミー賞授賞式 受賞結果

作品賞:『オッペンハイマー』

監督賞:クリストファー・ノーラン(『オッペンハイマー』)

主演男優賞:キリアン・マーフィ(『オッペンハイマー』)

主演女優賞:エマ・ストーン( 『哀れなるものたち』)

助演男優賞:ロバート・ダウニー・ジュニア(『オッペンハイマー』)

助演女優賞:デヴァイン・ジョイ・ランドルフ(『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』)

国際長編映画賞:『関心領域』

脚本賞:『落下の解剖学』

脚色賞:『アメリカン・フィクション』

撮影賞:『オッペンハイマー』

編集賞:『オッペンハイマー』

美術賞:『哀れなるものたち』

衣装デザイン賞:『哀れなるものたち』

メイクアップ・ヘアスタイリング賞:『哀れなるものたち』

作曲賞:『オッペンハイマー』

歌曲賞:“What Was I Made For?”『バービー』

音響賞:『関心領域』

視覚効果賞:『ゴジラ-1.0』

長編アニメ映画賞: 『君たちはどう生きるか』

長編ドキュメンタリー賞:『実録 マリウポリの20日間』

短編ドキュメンタリー賞:『ラスト・リペア・ショップ』

短編アニメ映画賞: 『ウォー・イズ・オーヴァー!インスパイアード・バイ・ザ・ミュージック・オブ・ジョン・アンド・ヨーコ(原題)』

短編実写映画賞:『ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語』

 

[番組情報]

「生中継!第96回アカデミー賞授賞式」

字幕版3月11日(月)午後9:00〜

[WOWOWプライム] [WOWOWオンデマンド]

※WOWOWオンデマンドでは3月19日(火)午後11:59までアーカイブ配信

 

「第96回アカデミー賞授賞式ダイジェスト」

3月17日(日)午後8:00~

[WOWOWプライム] [WOWOWオンデマンド]

※WOWOWオンデマンドでは3月19日(火)午後11:59までアーカイブ配信