『ジュリーは沈黙したままで』10⽉3⽇公開
ベルギーの新鋭、レオナルド・ヴァン・デイルの⻑編デビュー作品『ジュリーは沈黙したままで』が、10 ⽉ 3 ⽇(⾦)⽇本公開決定。このたび、シーン写真が公開されました。
公開されたシーン写真は6点。不穏な雰囲気をたたえたまま、壁を背に筋トレに励むジュリーのほか、しなやかな⾁体でテニスのトレーニングをこなす様⼦や、レッスン後の姿など、ジュリーの変わらない⽇常を捉えたものとなっています。
監督は、カンヌ国際映画祭コンペティション部⾨にも出品、ケガを隠して競技を続ける 12 歳の体操選⼿を描いた短編『STEPHANIE』(20)で注⽬を集めた、ベルギーの新星ヴァン・デイル。本作でも監督はスポーツ界で⼦どもが「⼩さな⼤⼈」として扱われる現実に強い問題意識を投げかけています。
そんな本作の共同プロデューサーとして名を連ねるのは、社会問題に光を当て続けてきたベルギーの巨匠ダルデンヌ兄弟。
また、この物語に共感を⽰したテニス界のスター・⼤坂なおみが、エグゼクティブ・プロデューサーとして公式に後押しすることも話題。過去、⼤坂がメンタルヘルスの重要性を訴えたことに⼤きく感銘を受けたヴァン・テイル監督は、「彼⼥が声を上げてくれたことで、世界中の少⼥たちに“NO と⾔う選択肢”が開かれた。本当に価値あることです」と語っています。
主⼈公となる、15 歳の天才ジュニア選⼿・ジュリーを演じたのは、実⽣活でも若きテニス選⼿であるテッサ・ヴァン・デン・ブルック。そのリアルな競技描写が、沈黙は弱さによるものではなく、強い意志の象徴であると悟らせ、選⼿とコーチの関係性という曖昧で危うい領域に迫りながら、試合に向けたサーブの練習、けがのリハビリ、ジムでのトレーニングといった断⽚的なシーンの連続が、少⼥がスポーツを逃げ場として利⽤していることを浮き彫りにしていきます。
また、登場するティーンエイジャーたちは全員ノンプロの俳優。実際の所属クラブの仲間たちを他の⼦役に起⽤することで、監督は幼い主演俳優が安⼼できる空間づくりを徹底しています。
35mm と 65mm フィルムで捉えられた美しい映像は、『ダム・マネー ウォール街を狙え︕』(23)、『クルエラ』(21)などで知られるニコラス・カラカトサニスの撮影によるもの。固定カメラによる静謐なフレーミングで、しばしば⾃然光のコントラストの中に⼈物を沈ませ、まさにダルデンヌ兄弟を思わせる⾃然主義的な⼿法で⼀⼈の少⼥の感情を浮かび上がらせていきます。
そして、緊張感のあるボーカルスコアは、アメリカの現代クラシック作曲家キャロライン・ショウ。ヴァン・ディルとベックハートによる脚本は、思春期の揺れ動く⼼理に寄り添いながら、観る者にジュリーの沈黙の⾏⽅をそっと委ねています。
レオナルド・ヴァン・デイル監督は次のような声明文を寄せています。
「『ジュリーは沈黙したままで』との個人的なつながりについて語りたくなるが、皆さんにジュリーの声を聞いてほしい。
ジュリーが沈黙する姿を見て、なぜ沈黙するのか耳を傾けてほしい。
沈黙することがジュリーの掟であり、私はジュリーの掟を破らないと誓った。
だから私は、ジュリーの沈黙の中に光をもたらすという唯一の目的のために、ジュリーの歩調、ジュリーの時間の中で物語を進めようと努めてきた。
ジュリーは自ら沈黙を選んだわけではなく、沈黙することで注目の的になろうとしているわけでもない。
優しい沈黙もあれば強烈な沈黙もある。時に暴力的で、特に力を与えてくれる。
ジュリーの沈黙に飛び込むことは驚くべき旅だった。
ジュリーは思いがけない形で私を導き、自分自身やこの世界について理解を深める手助けをしてくれた。
私たちは皆、何らかの形でジュリーであり、それぞれが沈黙を抱えているのだと気づかせてくれた。
新たな章を開くということは、ジュリーを放つことを意味する。はっきり言って簡単なことではない。
ジュリーは強いけれどまだ若く、もろくもある。もし何かあったら?
それでも…
ジュリーの沈黙は皆さんに知られることになった。
ジュリーの沈黙は今、あなたのものとなった」
将来を属望された選手がひた隠しにすることとは…?
ベルギーのテニスクラブに所属する 15 歳のジュリー(テッサ・ヴァン・デン・ブルック)は、その実⼒によって奨学⾦を獲得し、いくつもの試合に勝利してきた、将来を有望視されているプレーヤー。
しかし、ある⽇、信頼していた担当コーチのジェレミー(ローラン・カロン)が指導停⽌となりクラブから姿を消すと、彼の教え⼦であるアリーヌが不可解な状況下で⾃ら命を絶った事件を巡って不穏な噂が⽴ちはじめます。
ベルギー・テニス協会の選抜⼊りテストを間近に控えるなか、クラブに所属する全選⼿を対象にジェレミーについてのヒアリングが⾏われ、彼と最も近しい関係だったジュリーにとっては⼤きな負担がのしかかります。
テニスに⽀障を来さないよう⽇々のルーティンを崩さず、熱⼼にトレーニングに打ち込み続けるジュリーでしたが、なぜかジェレミーに関する調査には沈黙を続け……。
『ジュリーは沈黙したままで』は10 月 3 日(金)新宿シネマカリテ、
ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋ほか公開。
[作品情報]
『ジュリーは沈黙したままで』
原題︓Julie zwijgt
監督︓レオナルド・ヴァン・デイル
出演︓テッサ・ヴァン・デン・ブルック、クレール・ボドソン、ピエール・ジェルヴェー、ローラン・カロン ほか
2024|ベルギー・スウェーデン合作|オランダ語・フランス語・ドイツ語|100 分|カラー|5.1ch|1.85:1|
⽇本語字幕︓橋本裕充 (C)2024, DE WERELDVREDE 配給︓オデッサ・エンタテインメント
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