デヴィッド・ボウイにゴダール調のモノクロ映像。レオス・カラックス長編デビュー作『ボーイ・ミーツ・ガール』4Kレストア版予告編

『ボーイ・ミーツ・ガール』4Kレストア版1月31日公開

レオス・カラックス長編デビュー作『ボーイ・ミーツ・ガール』4Kレストア版が、1月31日(土)よりユーロスペースほか全国劇場公開。このたび、予告映像と新場面写真が公開されました。

公開された予告映像では、「もう愛してないのね」「一緒にいるともっと孤独になる」夜のパリ、失恋したばかりの男と女が出会うシーンで始まります。

 

「セックスに憧れてた。でも実際にやってみたら…違ってた」「パリからもフランスからも離れよう」「アレックス 愛の力で自己破壊から逃げるんだ」

 

アレックスが夜の町を彷徨いながらカセットで流しヘッドホンで聞くデヴィッド・ボウイ(1947-2016)の「When I Live My Dream」。モノクロームの美しさと詩的な言葉が鮮烈な予告となっています。

 

新たに公開されたシーン写真は 7 点。

 

失恋の悲しみを語り合うミレーユとアレックス、川岸を逃げるように走り去るアレックスの姿、パーティーの女主人が招待客の顔ぶれをアレックスに講釈するカット、アレックスがミレーユの恋人・ベルナールとカフェで隣り合うシーン、口づけを交わす男女を見つめるアレックス、手首にハサミを当てるミレーユ、目を閉じヘッドホンの音楽だけを頼りに街をアレックスの姿などが収められています。

 

白黒フィルムは撮影監督のジャン=イヴ・エスコフィエによりイルフォード HP5 が使われています。奇しくもイルフォードの高感度フィルムはゴダールのデビュー作『勝手にしやがれ』でラウール・クタールが使用し夜の撮影に革命をもたらしたフィルム。多くのシーンが 25 ミリの広角レンズで撮られたのも画面の特徴となっています。

『ボーイ・ミーツ・ガール』 1 月 31 日(土)より公開

1984年カンヌ国際映画祭100 本近い新作から選ばれた「批評家週間」の 7 本にレオス・カラックスの初長編『ボーイ・ミーツ・ガール』が入っていました。

 

ドニ・ラヴァン演じるアレックス(カラックスの本名)を主人公とする、カラックスの出発点となる長編デビュー作。

 

当時すでに珍しかった白黒作品だったが、上映後にわかに注目を集め一部プレスは「カンヌの驚くべき発見」「ゴダールの再来」と報じました。

 

1960 年生まれのカラックスが『ボーイ・ミーツ・ガール』(83 年)を監督したのは 22 歳のとき。カンヌ映画祭ではヤング大賞を受賞し「神童(ヴンダーキント)」「恐るべき子供(アンファン・テリブル)」と騒がれ始め、多くの国際映画祭にも招待、85年度シネデクヴェルト(映画発見)賞も受賞しました。

 

「二人の名はアレックスとミレーユ。1960 年生まれ、パリに住む。二人はまだ知りあっていない。彼はすでに彼女を愛している。だがそれは遅すぎた」(オリジナル・プレスのシノプシス)

 

カラックスが愛読するセリーヌ(1894-1961)の『なしくずしの死』の書き出しをゆっくりと読む子供のような不思議な声から映画は始まり、夜のセーヌ川へ。フロントガラスが割れた車の母子、「お別れを言いに来たの」と軽快な曲が流れます(ジョー・ルメールが歌うゲンズブールの「手ぎれ」)。河岸のトマとアレックスへと、別れる者たちの連鎖で物語が進行。普通の映画とはかなり異なった手探りの初々しい語り方、詩的で静かな独白的語りのなかで、失恋したアレックスとミレーユの偶然の出会い、一目惚れ、そして思わぬ悲劇が、コップの水が静かに溢れ出すような緊張感で語られ、物語の一こまというより記憶か夢の断片のよう。

 

モノクロームの世界は日常の光景を別の美しさに転じ、どこまで現実でどこから幻想かわからない夢うつつの本作にふさわしいトーンを湛えます。

 

ドニとカラックスの出会いから生まれたアレックスは形を変えながら『ポンヌフの恋人』まで 3 作の主人公となります。また、カラックスとの仕事で名を知られることになる撮影のジャン=イヴ・エスコフィエ(1950-2003)との出会いも『ボーイ・ミーツ・ガール』でした。

 

[作品情報]

『ボーイ・ミーツ・ガール』

監督・脚本:レオス・カラックス/撮影:ジャン=イヴ・エスコフィエ/出演:ミレーユ・ペリエ、ドニ・ラヴァン 1983 年/フランス/モノクロ/104 分/DCP

配給:ユーロスペース 公式サイト http://carax4k.com