『ボーイ・ミーツ・ガール』4Kレストア版
レオス・カラックス長編デビュー作『ボーイ・ミーツ・ガール』4Kレストア版が、1月31日(土)よりユーロスペースほか全国劇場公開。このたび、本編冒頭映像が公開されました。
公開された映画本編の冒頭映像は、カラックスが愛読するセリーヌ(1894-1961)の『なしくずしの死』の書き出しをゆっくりと読む子供のような、けれどしゃがれた不思議な声から始まります。
「僕らはこうしていまも孤独だ」「何もかものろのろと重くあまりに悲しい」「じきに僕は年をとる」「そしてやがて待ちわびた…終わりの時が来る」そして、夜のセーヌ川へ。子供を抱きかかえ車を走らせる女。割れたフロントガラスからスキー板が突き出ています。
「お別れを言いに来たの泣いて見せてもダメよ」と軽快な曲が流れます。フランスの作曲家・作詞家・歌手・映画監督・俳優と多才なカリスマ、セルジュ・ゲンズブール(1928-1991)の『手切れ』をジョー・ルメールが歌います。セリーヌは、第二次世界大戦中に反ユダヤ主義の作品によって逮捕状が出され亡命生活を送ったフランスの作家。ゲンズブールもセリーヌも過激な作風で知られる音楽界と文学界の異端児です。
レオス・カラックス、映画界の異端児の物語がここから始まるのです。
カラックスの長編デビュー作
ドニ・ラヴァン演じるアレックス(カラックスの本名)を主人公とする、カラックスの出発点となる長編デビュー作。
当時すでに珍しかった白黒作品だったが、上映後にわかに注目を集め一部プレスは「カンヌの驚くべき発見」「ゴダールの再来」と報じました。
1960 年生まれのカラックスが『ボーイ・ミーツ・ガール』(83 年)を監督したのは 22 歳のとき。カンヌ映画祭ではヤング大賞を受賞し「神童(ヴンダーキント)」「恐るべき子供(アンファン・テリブル)」と騒がれ始め、多くの国際映画祭にも招待、85年度シネデクヴェルト(映画発見)賞も受賞しました。
「二人の名はアレックスとミレーユ。1960 年生まれ、パリに住む。二人はまだ知りあっていない。彼はすでに彼女を愛している。だがそれは遅すぎた」(オリジナル・プレスのシノプシス)
カラックスが愛読するセリーヌ(1894-1961)の『なしくずしの死』の書き出しをゆっくりと読む子供のような不思議な声から映画は始まり、夜のセーヌ川へ。フロントガラスが割れた車の母子、「お別れを言いに来たの」と軽快な曲が流れます(ジョー・ルメールが歌うゲンズブールの「手ぎれ」)。河岸のトマとアレックスへと、別れる者たちの連鎖で物語が進行。普通の映画とはかなり異なった手探りの初々しい語り方、詩的で静かな独白的語りのなかで、失恋したアレックスとミレーユの偶然の出会い、一目惚れ、そして思わぬ悲劇が、コップの水が静かに溢れ出すような緊張感で語られ、物語の一こまというより記憶か夢の断片のよう。
モノクロームの世界は日常の光景を別の美しさに転じ、どこまで現実でどこから幻想かわからない夢うつつの本作にふさわしいトーンを湛えます。
ドニとカラックスの出会いから生まれたアレックスは形を変えながら『ポンヌフの恋人』まで 3 作の主人公となります。また、カラックスとの仕事で名を知られることになる撮影のジャン=イヴ・エスコフィエ(1950-2003)との出会いも『ボーイ・ミーツ・ガール』でした。
[作品情報]
『ボーイ・ミーツ・ガール』
監督・脚本:レオス・カラックス/撮影:ジャン=イヴ・エスコフィエ/出演:ミレーユ・ペリエ、ドニ・ラヴァン 1983 年/フランス/モノクロ/104 分/DCP
配給:ユーロスペース
公式サイト http://carax4k.com

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