「自由が奪われる流れは、感染症のように瞬く間に拡大してしまう」ジェナ・マービンの実録『クイーンダム/誕生』本編映像

『クイーンダム/誕生』公開中

LGBTQ+の活動が弾圧されるロシアに突如現れた次世代のクィア・アーティスト、ジェナ・マービンを追ったドキュメンタリー映画『クイーンダム/誕生』がシネマート新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷、アップリンク吉祥寺ほかにて全国公開中。このたび、主演ジェナ・マービンがクィア・アーティストとして凍えるモスクワの街で行ったパフォーマンス映像が公開されました。

ジェナは、LGBTQ+を「テロリスト」と同等に扱う国ロシアに生まれ、差別や偏見、暴力を受けながらも、その痛みをアートへと昇華させてきました。このたび公開された映像は、自身の体をキャンバスに、無言のパフォーマンスを街に放つジェナが、ウクライナ侵攻勃発後の凍てつくモスクワの街で行った、命懸けの抗議パフォーマンス。

 

ジェナが自らの剥き出しの身体に有刺鉄線をきつく巻きつける衝撃的なシーンから始まります。鋭い刺が皮膚に食い込む痛みの中、ジェナは「不安だよ」と本音を漏らしながらも、氷点下のモスクワを無言で行進。

 

このパフォーマンスは、国家の暴力に縛られ、血を流す人々の苦痛を体現したものであり、通行人が驚愕の表情で振り返る中、ジェナはやがて当局に拘束されます。

 

本作は、プーチン政権下で個人の権利が急速に奪われていくロシアの惨状を記録していますが、これは決して遠い国の出来事ではありません。自国が不測の事態に直面した際、個人の思想や表現がどのような岐路に立たされるのか。ジェナが直面した「逮捕」「徴兵」「亡命」という現実は、不条理な状況下で自らの信念を貫く者が払わされる代償を冷徹に映し出しています。

 

本作は、自由や尊厳が失われていくプロセスを克明に記録した極めて重要なドキュメンタリーであり、不透明な社会状況の中で自分らしく生きることの意味を問い直す現代の日本人の胸も打ちます。

 

ジェナは次のように語っています。

 

「ロシアを離れて3年、まさか自分が亡命することになるとは想像もしていませんでした。『同性愛宣伝禁止法(ゲイ・プロパガンダ禁止法)』が施行された当初はまだ対抗できると考えていましたが、状況は悪化の一途を辿りました。本来、法律は私たちの権利を守るべきものですが、それが機能しない場所では、私たちは守られません。ロシアの現状は決して特殊な事例ではなく、今や世界的な傾向です。自由が奪われる流れは、感染症のように瞬く間に拡大してしまうものなのです」

 

アグニア・ガルダノヴァ監督は次のようにコメントしています。

 

「この映画の核は、ジェナと祖父母の関係性にあります。表現や愛の形を否定されながらも、そこには愛がある。これは多くの人が共感しうる世代間の衝突ですが、同時に、現代のロシアでクィアとして生きることの命懸けの危険性をも描いています。政府に立ち向かう勇気はあるか。信じるもののために、友や家族、故郷を捨てることができるか。ジェナが下した痛みを伴う決断は、私たち全員にそう問いかけます。自分を偽らず、自分らしく生き抜く勇気を持ってください。自分に正直であり、何者であるかを恐れずに示すこと。それこそが偏見と戦い、人々の考えを変える唯一の方法だと信じています。ジェナはそれを成し遂げました。次は、あなたの番です」

 

イゴール・ミャコチンプロデューサーは次のように呼びかけます。

 

「力を合わせて声を上げ続けることが重要です。デモへの参加はもちろん、それが難しければ日常生活の中で自分にできる抗議の形を考えましょう。私たち にはまだ、行動を起こす権利が残されています。しかし、そうした権利は、何もしなければすぐに消えてなくなってしまいます。黙って座っているのではなく、一人ひとりが今こそアクションを起こすべきです」

クィア・アーティスト、ジェナ・マービンの実録

LGBTQ+ の活動や表現が法律で禁じられているロシアに突如現れたクィア・アーティスト、 21 歳のジェナ・マービン。

 

首都モスクワから約 10,000 キロ離れた極寒の町で祖父母に育てられたジェナは、幼い頃から 自身がクィアであると認識しており、小さな町ではその存在が暴力の標的となりました。ロシアでは LGBTQ+ は 「存在しないもの」とされ、その当事者たちは日々、差別と抑圧にさらされているのです。

 

その痛みとトラウマを、ジェナはアートへと変えた。スキンヘッドにハイヒール、身体を締め上げるテープや有刺鉄線をまとい、“静かな叫び”として無言のパフォーマンスを街に放ちます。

 

やがて、ロシアによるウクライナ侵攻が勃発。反戦デモに参加したジェナは逮捕され、徴兵の危機に。逮捕、嫌がらせ、社会からの排除――それら全てを背負い、恐怖と絶望を超えた孤高のクイーンが誕生します。

 

これは、痛みと美しさを纏ったひとりのアーティストによる、命をかけた表現の記録です。

 

『クイーンダム/誕生』は、1月30日(金)にシネマート新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷、アップリンク吉祥寺ほかにて全国公開。

 

[作品情報]

『クイーンダム/誕生』

原題 QUEENDOM |

監督:アグニア・ガルダノヴァ

製作:イゴール・ミャコチン、アグニア・ガルダノヴァ

主演:ジェナ・マービン

2023 年 | フランス・アメリカ | ロシア語 | 91 分 | シネスコ | カラー | 5.1ch | 日本語字幕 浅野倫子 | 配給 Elles Films | 協力 吉森崇夫

公式 HP: ellesfilms.jp/queendom

公式 X:@Elles_Films (https://x.com/Elles_Films )

公式インスタ:@elles_films0722 (https://www.instagram.com/elles_films0722?igsh=aWw4d3k4Z3RiZnNj)

ハッシュタグ:#クイーンダム誕生