記憶するカメラが別の主体となって描き出す“幽体”『落下⾳』本編映像

『落下⾳』4⽉3⽇(⾦)公開

第78回カンヌ国際映画祭コンペティション部⾨審査員賞、第98回⽶国アカデミー賞のドイツ代表にも選出された『落下⾳』が4⽉3⽇(⾦)公開。このたび、本編映像が公開されました。

公開された本編映像は、カメラそのものが“もう⼀⼈の登場⼈物”のように存在感を放つ、印象的なシーン。

 

家の使⽤⼈ベルタに悪戯を仕掛けた4姉妹の元に、やがて何も知らずに戻ってきたベルタが靴を履いた瞬間、⾜がつっかえ、そのまま正⾯から勢いよく床へ倒れ込んでしまいます。

 

最初は笑っていた姉妹たち。しかし、ベルタが微動だにしないことに気づいた途端、場の空気は⼀変。動揺が広がるなか、末っ⼦アルマはその場に⽴ち尽くし、動けなくなってしまいます。

 

⼀⾒すると、⼦どもたちの危険な遊びを捉えた場⾯。しかし、カメラが捉える壁の隙間から覗く視線はいったい誰のものなのでしょう?時空や視点が歪んだかのような不思議な感覚が漂い、観る者に“謎解き”のような体験を促す構造となっています。

 

この独特の映像表現は、マーシャ・シリンスキ監督が探求してきた「記憶すること」、そして「⾃分の⾏為を別の時間軸から⾒つめ直す感覚」を映像化する試みから⽣まれたものであり、1つの画⾯で主観と客観が交錯する視点は、まさに監督⾃⾝の記憶感覚を具現化したものでもあります。

 

インスピレーション源となったのは、記憶・存在・消失をテーマに、⾃⾝の⾝体を被写体とした幻想的なセルフポートレートで知られる写真家フランチェスカ・ウッドマン。シリンスキ監督は次のように語っています。

 

「彼⼥の写真には、透明にきらめく幽体のような像が現れ、漂い、⾶翔するようなムードがあります。その感覚にずっと魅了されてきました。同時に、時間が経つほど記憶にヴェールがかかり、“⼿が届かなくなる”感覚をどう画⾯に宿らせるかが重要でした」

 

さらに制作過程における技術的な面については次のようにコメントしています。

 

「最適な⽅法を⾒つけるまでには時間がかかりました。レンズを使い分け、ステディカムを多⽤し、ときにはピンホールカメラまで⽤いて、疎外や乖離の感触を捉えようとしたのです。最終的に、カメラそのものが登場⼈物たちの⾝体の⼀部のように感じられる瞬間に到達できたと思います」

北ドイツの農場、四つの時代の四人の少女

1910年代、アルマは同じ村で、⾃分と同じ名を持つ幼くして死んだ少⼥の気配に気づきます。

 

1940年代、戦争の傷跡が残る中、エリカは⽚脚を失った叔⽗への抑えきれない欲望に気づき、⾃らの得体のしれない影に⼾惑います。

 

1980年代、アンゲリカは常に肌にまとわりつく“何か”の視線に怯えていました。

 

そして現代、家族と共に移り住んだレンカは、⾃分の存在が消えてしまいそうな孤独感に蝕まれていきます…。

 

百年の時を経て響き合う彼⼥たちの不安が、この北ドイツの農場を静かに覆いつくしていきます。

 

『落下音』は、4⽉3⽇(⾦)新宿ピカデリーほか全国ロードショー。

 

[作品情報]

『落下音』

英題︓SOUND OF FALLING 

監督・脚本︓マーシャ・シリンスキ 

出演︓ハンナ・ヘクト、レア・ドリンダ、レーナ・ウルツェンドフスキー、レーニ・ガイゼラー 

配給︓NOROSHI ギャガ||2025年|ドイツ|カラー|ビスタ|5.1ch|155 分| 字幕翻訳︓吉川美奈⼦|PG-12

(C) Fabian Gamper - Studio Zentral 

<公式HP>https://gaga.ne.jp/rakkaon_NOROSHI/

<SNS>X、instagram: @noroshi_gaga