『幸せの、忘れもの。』5月1日公開
ベルリン国際映画祭2冠、スペインマラガ映画祭5冠『幸せの、忘れもの。』が5月1日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほか全国公開。このたび、本作のために制作された“ろう者向け手話解説動画”が公開されました。
近年、障害のある人や高齢者を含む誰もが映画を楽しめる環境づくりとして、「バリアフリー上映」が増えています。音声ガイドは、映像に合わせて人物の動きや状況を音声で伝えるもので、主に視覚に障害のある人や視力が低下した方向けであるのに対し、バリアフリー字幕は、セリフだけでなく、「強い風が吹く音」などの環境音や効果音も文字で提示し、聴覚に障害がある方や音声が聞き取りにくい方の鑑賞を支えるものです。ただ、日本における音声ガイド付き上映や字幕付き上映の普及率は低く、特に洋画ではわずか1.4%に留まっています(2023年 Japanese Film Project 調べ)。
スターキャットアルバトロス・フィルムは、作品の理解を鑑賞前後に深められる“ろう者向け手話解説動 画”の制作を開始し、公式サイトで公開しました。ネタバレに配慮しつつ、鑑賞前動画では「ろう者がどのように本作を楽しめるか」を紹介し、鑑賞後動画では公式サイト、劇場掲示のポスターや、入場者特典「幸せの【指差し、感想おしゃべりカード】」に付けたQRコードからアクセスでき、演出意図を丁寧に解説した内容を用意しています。
この手話解説動画に出演するのが、川口春奈さん・目黒蓮さん主演ドラマ『silent』で手話監修・指導を務めた中嶋元美(なかじま・もとみ)さん。中嶋さんは、生まれつき難聴で高校生のときに中途失聴となったろう者であり、現在は手話表現者としてアイドル活動やパフォーマンスを行っています。
中嶋さんは今回の取り組みについて、「聞こえる人が映画を解説する動画があるように、聞こえないコメンテーターが手話で映画を紹介することで、単なるアクセシビリティではなく、“もうひとつの言語”として手話を取り入れてくれたように感じられ、とても良い取り組みだと思いました」と語っています。
ネタバレなしの紹介動画では、キャラクターやストーリーを簡潔に紹介。本作が、従来の“ろう者=可哀そう”というステレオタイプとは異なり、当事者と非当事者それぞれの視点をリアルに描いた作品である点を強調し、ろう者でも十分楽しめる作品であることを伝えています。ネタバレありの解説動画では、主人公の視線や振る舞いなど、ろう者だからこそ気づけたポイントに加え、途中で音が消える演出の意図などを丁寧に解説しています。
映画の魅力を100%味わいたくても、視覚や聴覚の障害によって作品の情報を十分に受け取れない方がいる一方、バリアフリー版を制作するだけの資金力がない作品も少なくありません。またそもそも、広く流通している映画解説の多くは健常者の視点によるもの。今回の“ろう者向け手話解説動画”は、ろう者自身がろう者に向けて作品の魅力を伝えるという新しいアプローチであり、「映画を少しでも楽しめる環境づくり」に向けたバリアフリー化の新たな一歩として注目されています。
ろう者が手に入れるほんとうの幸せとは?
聴こえない世界に生きるアンヘラと、優しく寄り添う夫エクトル。二人は手話というかけがえのない言葉で心を通わせます。
アンヘラは陶芸工房で働き、優しい土の匂いと仲間たちにも見守られ、静かで平穏な日々を過 ごしていました。しかし、ある“幸せな出来事”を境に、何かが少しずつ揺らぎ始め…。
やがて再び“疎外の世界”に引き戻されるアンヘラ。聴こえない世界とその外側で時々見え隠れする“本当の幸せ”をつかまえることができるのでしょうか…。
『幸せの、忘れもの。』は、5月1日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほか全国公開。
[作品情報]
『幸せの、忘れもの。』
原題:Deaf
監督:エバ・リベルタ
撮影:ジナ・フェレル・ガルシア
編集:マルタ・ベラスコ 音響:ウルコ・ガライ/サウンド・デザイン:エンリケ G. ベルメホ 出演:ミリアム・ガルロ、アルバーロ・セルバンテス、エレナ・イルレタ、ホアキン・ノタリオ 2025 年/スペイン/スペイン語・スペイン手話(LSE)/99 分
提供:ニューセレクト
配給:スターキャットアルバトロス・フィルム
https://shiawase-film.com

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