[レビュー]革命的な使い勝手・デザイン・音質の「軟骨伝導」ヘッドホン

世界初「軟骨伝導」ヘッドホンATH-CC500BT

耳穴をふさぐことなく音楽を楽しめる、世界初の「軟骨伝導」ヘッドホンATH-CC500BTが発売されました。「“ながら聴き”が“本気聴き”になる」──テレワーク時代のコミュニケーションツールを超えて、こうした謳い文句を掲げるのは伊達じゃない。オーディオテクニカならではの高音質を実現しているというので、試聴してみることにしました。

コロナ禍による生活様式の変化で俄然注目

最近みみをふさがないいわゆる“骨伝導ヘッドホン”が注目されているのは、コロナ禍による生活様式の変化と密接な関わりがあるように思えます。

 

外出先で気導(耳穴)を塞がないヘッドホンは、これまで電車で外界と遮断して音楽に没頭したいというノイズキャンセリングのニーズから、むしろ外界の音も取り込みながら自転車で通勤通学時に音楽を聴きたいというニーズに応えます。

 

一方、家の中でも、テレワークなどのオンライン会議が主流となった人にとっては、家族の気配など“家”を感じながらの生活を損なわずにこなすことができます。

いい音ד骨伝導”=軟骨伝導⁉

このCC500BTは、耳穴からの空気の振動を鼓膜で増幅させて蝸牛に伝える「気導経路」を活用したものや、頭蓋骨の振動そのものが蝸牛に伝わる「骨伝導経路」ではなく、2004年に奈良県立医科大学細井裕司教授が発見した第3の聴覚経路「軟骨伝導経路」を実用化したものです。

 

これは、耳珠(じじゅ)とよばれる耳の入り口前にある出っ張った耳介軟骨に与えた振動が耳穴の壁の軟骨に伝わり、そこで空気を震わせて鼓膜でキャッチする仕組み。鼓膜を振動させている点で、従来の気導経路に近いものです。

それゆえ、「(頭蓋)骨伝導」のようにくぐもった感じもなく、一般のイヤホンと同じようにきちんとステレオで音像がうかびますし、解像感も含めてナチュラルできちんと音楽を聴かせる“オーディオテクニカ”のサウンドです。

自分だけにBGM!生活空間にふわりと音楽が浮かぶ

さっそくいろいろなソースで試聴してみました。

 

ブルートゥースを通じて、スマートフォン(iPhone12)、PC(MacBook Air M2)、BDプレーヤー(SONY UBP-X800M2)とペアリング。通信はBluetooth標準規格Ver.5.1準拠で、クアルコムaptX HDなど幅広いコーデックに対応。PCやスマホ、タブレットなど複数機器の登録が行えるマルチペアリングが可能で、同時接続も2つまでできるので、PCを使いながら電話着信できるのは便利です。

スマートフォン、PCでは、Apple MusicやAmazon music HDなどを試しましたが、一聴して一般的な耳穴にねじこむ「気導経路」イヤホンと変わりないナチュラルサウンドに驚き。掛け心地が自然なこと、耳穴が塞がっていないことと相まって、生活空間にふわりと音楽が浮かび上がっている印象です。

 

低音の押し出しこそ控えめですが、POPSを中心とした中高域の再生が得意で、クラシックの言の繊細な表現もなかなか立派です。

 

ただ、音量をMAXに近づけると、音質的な破綻は起こりませんが耳珠がブルブルと震えているのがわかります。また、専用アプリ「CONNECT App」のプリセットイコライザーでは「Original」「Bass Boost」「Clear Voice」が選べますが、このCC500BTとの組み合わせに限って言えば、「Original」以外は他の音域を犠牲にしてしまう印象。「Original」一択と感じました。

オーディオテクニカらしいナチュラルで愛着の沸くサウンド&装着感

こういったナチュラルなサウンドのほか、なによりCC500BTの特筆すべきは、自然な装着感と上質なデザインでしょう。

 

装着してみるとドライバー部分は耳介軟骨に触れる程度。独自開発のA.P.S.S(Acoustic Pure Sound Stabilizer、アコーステック・ピュア・サウンド・スタビライザー、特許出願中)を採用した振動ドライバー(PAT.P)により、外部振動による音質劣化を防ぎ低音再生時の不快な振動を抑えます。

 

あまりの快適さに、そのままスマートフォンを持ってジョギングへ。防水性能はIPX4相当で、ちょっとした雨や水しぶき、水回りの家事にも神経質にならず使えます。バッテリーはUSBによる急速充電に対応。フル充電で最大20時間連続再生が可能です。

 

上質なデザインとマットなシリコン素材が実に優しい装着感を生み出し、チタニウムのワイヤーが内蔵されたバックバンドも快適な掛け心地。メガネやマスクとの併用も無理がなく、メガネ+マスク+帽子でジョギングやサイクリングに好適かと思います。

行き交うクルマの音はもちろん、道行く人の話し声も聞こえるのが安心感を与えてくれ、自分だけゴキゲンな音楽を楽しんでいるのがなんとも不思議な感覚です。家族と肩を並べて歩いてもシャカシャカした音は聞こえないといい、通勤通学の車内でもよほどの大音量でなければ音漏れは気にならないのではないでしょうか。大声を出すこともなくコンビニのレジで普段通りにコミュニケーションを取れます。

 

また、スマートフォンを家に置いたまま駐車場に出たりしてみましたが途切れることもありませんでした。接続性も高そう。

 

調子に乗って、BDプレーヤーUBP-X800M2とブルートゥースで接続しての映画再生に挑戦。映画「グラディエーター」冒頭、風が左右にたなびき、鳥が飛び立ち、騎乗した兵士達がガチャガチャと集まってくる描写もきちんと解像してみせました。ただ、そのあとの戦闘シーンの轟音はいかんせん低音が足りず。当然ですが、そういったソースには大きな振動板を持ったオーディオテクニカのヘッドホンを使いましょう。

クリアで自然な通話は、テレワークに最高

オンライン会議の場面では、5億以上の騒音データを学習したintelliGo社のAIノイズリダクション技術(AIVC)が、マイクの集音から人の声だけを識別・抽出し、快適なコミュニケーションを促します。

 

実際にオンラインで通話してみました。本体左の小さな穴に内蔵されたマイクじたいもひじょうに優秀なのでしょう、大声を出さなくても通常の発声できちんと相手に伝わります。相手にはこちらの部屋の環境音もきこえず、とてもクリアだったと好評でした。

世界3大デザイン賞制覇の秀逸な逸品

このCC500BTのデザインは、世界3大デザイン「iFデザイン賞 」「レッドドットデザイン賞」「IDEA賞」を完全制覇した日本のデザイナー、カロッツェリアカワイの川合辰弥さんによるもの。

 

オーディオテクニカのブランドアイデンティティを大切にしながら、世界初の軟骨伝導技術という革新性とコラボレーションならではの意外性念頭に、数百枚におよぶスケッチとモデリング・モックアップを繰り返したといいます。

 

オーディオテクニカのアイコンである、レコード針に由来するトライアングルマーク基調のデザインを基に、側面からの眺めを重視。「後ろ姿で差が付くデザイン」を目指し、官能的に仕上げたと川合さんが説明してくれました。

適正ボリュームで日常生活でも音楽を楽しみたい方、とくに自転車やジョギングで通勤通学したり、テレワークできちんとコミュニケーションを取りたい方に断然オススメ。優れた装着感とデザインは、普段使いにすると愛着が沸いて長く使えること請け合いです。

 

ワイヤレス軟骨伝導ヘッドホンATH-CC500BTは、オープン価格(実勢価格17,600円前後)で発売中。

 

(取材・製品/画面写真・文:遠藤)