山本アア、「創意工夫によって完成する照明」3作品を発表[DESIGNART TOKYO 2022リポート]

山本アア、創意工夫によって完成する照明3作品

22年10月末に東京表参道地区を中心に開催された日本最大級のデザイン&アートフェスティバル「DESIGNART TOKYO(デザイナート トーキョー)2022」。本稿で紹介するのは、株式会社キュリオシティでグエナエル・ニコラに7年師事したプロダクトデザイナー・山本アアが、東京・南青山FROM-1stの表参道布団店。ショールームを舞台に開催した初めての個展で発表した3つの照明作品です。

グエナエル・ニコラに師事、家具や照明を製作

山本アアは、キュリオシティで培った家具や照明製作の経験を生かし、「社会を紡ぐ日常的な体験」ということをテーマとした作品作りをしていると語ります。

 

「体験の積み重ねが人となりを作り、人の集まりが社会を形づくるのであれば、社会とは体験の集積と捉えることができるのではという仮説からスタートして、それではより良い社会の構成要素となる体験とはどういうものだろうか、そういった体験を伴うプロダクトとはどういったものだろうか、ということについて考えています。日常的な体験というものは決してインパクトの大きいものではないですが、できるだけ小さいことから、できるだけ遠いところから始めることで無力と捉えられてきたことに意味を見出していきたいです」

毎作がスペシャル・エディション

本と組み合わせた照明「TALES」は、ページ毎に異なるリフレクトが施されています。また、置き方に応じても部屋の景色が一変し、部屋に居ながらにして絵本の読み聞かせのようなストーリーテリングができるという、まさに使い手の創意工夫が試される一品です。

透明なお椀を重ねた照明「CHORUS」も、使い手の創意工夫を試す作品。重ね方を少しずらすだけで、壁面にさまざまな波紋のような湾曲の陰影を映し出します。

会場入り口に置かれた弓なりの板がアーチのように重なる照明「SAGGITARIUS」は、この展示会直前に思いついたもの。ホームセンターで購入してきたという板の両端に繋がれたワイヤーの長さを照明本体に内蔵された巻き取り機構で調整することで、弧の形を変えることができます。

「毎作がスペシャル・エディション」と語る山本の作品は、オーナーと相談しながら作っていくオーダーメイド。「正解を出す」「切り捨てる」のではなく、環境や使い手に合わせて住まいもインテリアも作られていくことを実感させてくれる展示でした。

 

(取材・写真・文:遠藤)

 

山本アア

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表参道布団店。

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