『ファイブ・デビルズ」公開でレア・ミシウス監督メッセージ「デジタルでは見えすぎてしまいます」

レア・ミシウス監督タイムリープ・スリラー「ファイブ・デビルズ」メッセージ動画

セリーヌ・シアマ、ジュリア・デュクルノーに続く才能として、今フランスで最も期待されるレア・ミシウスの長編第2作「ファイブ・デビルズ」が11月18日(金)より公開中。このたび、レア・ミシウス監督のインタビューが到着しました。

「本作は女性の遺伝の物語」

まずは本作の物語が生まれた経緯について、次のように語ります。

 

「このキャラクターたちに命を与えたいという思いから生まれました。脚本は、匂いに取り憑かれた女の子のアイデアからスタートし、モザイク画を作るように少しずつ組み立てていきました。脚本の執筆中、多くのアメリカ人作家の本を読みました。フランスを舞台に映画を撮ってはいても、私が作る映画はいつもアメリカ文学からインスピレーションを得ていたように思います。最終的に残ったのは、舞台とキャラクターを神話化することへの憧れでした。その願望に従って、アルプスの麓の村の壮大な風景で、人種の混在した家族と神話的なキャラクターを登場させたのです」

 

そして映画の主題については次のように話します。

 

「私たちは『ファイブ・デビルズ』を以下のように要約しています。失敗した、または挫折した人々の物語。この映画は悲劇でもあるのです。どの大人もどこかで道を踏み外し、不幸なままです。その良い面は、彼らが“失敗”したおかげでヴィッキーが生まれたこと。そして失われたものは何もないのだということです。失われた時間を取り戻せないとしても、私たちにはまだ選択肢がある。物事は何も決まっていない。私たちは行動を起こすことができるのです」

 

女性同士の燃えたぎる愛がテーマの一つでもある本作ですが、監督はそれらを描いた背景について次のように明かします。

 

「『ファイブ・デビルズ』は遺伝についての物語です。ヴィッキーの持つ魔法の力は、女性から女性へと受け継がれていく。それはおそらく、昨今の多くのフェミニストのように、私が魔女の姿と女性の力に取り憑かれているからでしょう。男性を排除したいわけではないんです。たとえ男性たちが背景のような存在に見えるとしても、これまでの伝統的な男性性に代わる別の姿を提示したいだけなのです」

 

35mmフィルム撮りにこだわった理由については次のようにコメントしています。

 

「『ファイブ・デビルズ』は目に見えないものを扱っていますが、本来映画には、何か目に見えないものが存在していると私は思います。ところがデジタルではすべてが見えてしまう。私が想像していた謎を作り出すためには、35mmでの撮影は不必要な要素だったのです」

 

そして、レア・ミシウス監督から日本の観客へ向けた貴重なメッセージ動画も到着。「本作では継承、魔力、家族について語っています」「映画として楽しみながら何か深いものを感じてもらえればと思って作りました。どうぞお楽しみください」と、私たちにメッセージを送ってくれました。

嗅覚でタイムリープする少女が開く、母と叔母を巡る禁断の扉

本作品は、嗅覚に不思議な力をもつ少女を軸にしたタイムリープストーリー。彼女はこっそり母の香りを集めています。そんな彼女の前に突然、謎の叔母が現れたことをきっかけに彼女のさらなる香りの能力が目覚め、自分が生まれる前の、母と叔母の封じられた記憶にタイムリープ。やがて家族の運命を変える予期せぬ結末へと向かっていきます──。

 

「ファイブ・デビルズ」は、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺ほか全国で公開中。

[作品情報]

『ファイブ・デビルズ』

原題:Les cinq diables/英題:The Five Devils

監督:レア・ミシウス

脚本:レア・ミシウス、ポール・ギローム

出演:アデル・エグザルコプロス、サリー・ドラメ、スワラ・エマティ、ムスタファ・ムベング、ダフネ・パタキア、パトリック・ブシテー

2021/フランス/仏語/96 分/カラー/シネスコ/5.1ch/日本語字幕:横井和子 

配給:ロングライド

 

 (資料提供:ロングライド)

 

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