「CES2023」ソニー、モビリティとメタバース領域でエンタメの意義を訴求

「CES 2023」ソニーがモビリティとメタバースの展示

世界最大の見本市の一つ「CES 2023」が今年も1月5日に開幕。主催はConsumer Technology Association(CTA)で、もともと「CES」は国際家電見本市(Consumer Electronics Show)と称する家電のトレンドを占うイベントでしたが、近年は新たなテクノロジー全般を扱うようになっています。

 

その中でソニーは「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」を合い言葉に、映画やゲーム、音楽、スポーツ、モビリティ分野で重要な役割を果たすと宣言。とくに注目なのは、モビリティとメタバース。ソニーが現実世界と仮想空間を橋渡しすること、具体的にはエンタメの核である時空の共有=ライヴを様々なクリエイターの連携を通じて実現していく方向性を印象づける展示となっています。

「Moving People Forward」

出展内容の第1は、モビリティやメタバースを通じた感動を、クリエイターとの共創によって実現できるような技術的環境作りです。

 

1月3日に打ち上げられた人工衛星「EYE」に搭載された遠隔操作・撮影可能なカメラを通じた「宇宙の視点」で地球環境や社会問題を考察できる展示や、『トップガン マーヴェリック』でも活躍したデジタルシネマカメラ「VENICE 2」などの映像・音声制作機器を展示しています。

Expanding Potential of Virtual and Physical

第2は、「フィジカルとバーチャルの可能性を広げる」がテーマ。

 

英国マンチェスター・シティのエティハド・スタジアムをヴァーチャルで再現したメタバースコンテンツや、人物・物体・空間を簡単に3D映像化・配信できる「可搬型ボリュメトリックシステム」のプロトタイプ、現実世界を立体的な空間映像で再現する「空間再現ディスプレイ」27型のプロトタイプ、VFX編集でカメラワークやキャラクター配置などを事前に確認できるモバイルモーションキャプチャー「mocopi」のデモンストレーション、PlayStation5向けVRシステムPlayStation VR2らが展示されています。

Evolving Mobility Experience

そしてソニー・ホンダモビリティ株式会社が、モビリティ分野で新ブランド「AFEELA(アフィーラ)」を発表。

 

安心安全な自動運転・運転支援機能を持つ「Autonomy(進化する自律性)」、リアルな運転以外のバーチャル領域でのエンタメ体験もできる車内「Augmentation(身体・時空間の拡張)」、様々なクリエイターとオープンに連携できる仕組み「Affinity(人との協調、社会との共生)」の3Aの価値を提供するとしています。

電気自動車といえば自動運転ばかりに目が奪われがちですが、かつて音楽を持ち出したウォークマンのようにエンタメを持ち出せるという「CES 2022のVISION-S 02」でも掲げられていた思想の継承とともに、ライセンス競争と囲い込みに明け暮れたこれまでの日本企業の発想にはなかった「オープンな環境作り」という崇高な目標を掲げたことに感慨を覚えます。