「ミョ〜に生々しい!」「人が切り絵みたく動く」「ビルがミニチュア!?」映像作家・五島一浩の3D作品一挙上映!

映像・視覚メカニズムの実験を続ける映像作家・五島一浩の過去作品を含めた3D映像一挙上映会が、2月19日まで、東京・渋谷のイメージフォーラムで開催中です。

上映されるのは、アルス・エレクトロニカ準グランプリ「SHADOWLAND」のほか、文化庁メディア芸術祭審査員推薦「BUMPY」、新作「IN VISIBLE TIME」を含む全6作品、約82分です。

 

いずれの作品も、一眼レフカメラで撮影した画像・映像に、左右数フレームの時間差を付加して投影するというシンプルな制作手法をとっています。

 

そうすることで、公園の散策や通勤の風景などのありふれた日常的な景色が、生々しくなったり、切り絵状に映ったり、ミニチュアに見えたりと、「目が二つあること」で我々の脳が感知するまでの仕組みを再校させられます。

 

とくに今回、1時間半近くも五島の作品をずっと眺めていると、五島の言う「我は思っているはずが『我』なんて存在していなかったんじゃないかという、足元が崩れるような不安。あるいは『存在していない』のにまるで『思って』いるように見える事の健気さ」を無限ループのように考えざるを得ません。まるで、松本利夫の実験映像のように。。

 

「イメージフォーラム・シネマテークNo.1055『IN VISIBLE TIME』五島一浩3D映画特集」は、2月19日まで開催中。

『東京浮絵百景』(14分/2010)

1台のデジタルカメラで徒歩移動しながら大量の静止画像を撮影。そこから構築した動画に、左右の目で僅かな時間差を付加することで、立体映像を生成します。過去と未来にまたがる視覚が、見慣れた風景を新鮮なものに変貌させます。

『t2z』 (34分/2012)

微速移動するビデオカメラで接写。身近な物の普段意識していない質感とパースペクティブを、マクロ視点で抽出します。立体映像だけが可能にする「大きさの絶対値」の能動的な表現力に舌を巻くこと請け合い。

『FAX FACTORY(from 東京浮絵百景)』 (5分/2018)

佐藤理の楽曲“FAX FACTORY”のミュージックビデオとして、“東京浮絵百景”の2D映像素材を作曲者の佐藤がエディット。音楽が違うとこれだけ印象が違うという、人間の感覚のマジック!

『SHADOWLAND』 (14分/2013)

夜の都市を移動する無数の自動車のライトが、行き交う人やガードレールなどの影を、コンクリート建物や工事現場の囲いといった無味簡素な平面をスクリーンとして生々しく映し出します。「東京浮世絵百景」でもすでに水面に映った影にその萌芽が観られますが、この作品で完全に“裏が表になった”印象です。撮影する五島の影も移ろうように映ったりして、五島の言う『我』がほんとうにあるのかなかったのか…。アルスエレクトロニカ2014 準グランプリ作品。

『BUMPY』 (12分/2016)

日常のありふれた風景を固定カメラで撮影。その映像に時間差を加えることで生じる、実際の空間配置とは無関係な凹凸。細部を観察することで現れる様々な矛盾と混乱を楽しめます。釘や画鋲など尖ったものが迫ってくる場面もあり、苦手な人は注意かも(笑)。第20回文化庁メディア芸術祭アート部門審査委員会推薦作品。

『IN VISIBLE TIME』 (2分/2023)

本展のために制作した新作3D映像作品。ソウル、サンティアゴ、ブリュッセル、ベルリン、ドーハなど、2010年から撮りためていたアーカイヴをまとめたもの。本展のエンドタイトル。

[開催概要]

「イメージフォーラム・シネマテークNo.1055『IN VISIBLE TIME』五島一浩3D映画特集」

期日:2月17日(金)〜19日(日)

会場:イメージフォーラム3F「寺山修司」

東京都渋谷区渋谷2-10-2

TEL. 03-5766-0116

当日受付

一般700円/会員・学生500円(要学生証提示)

※当日入退場自由

※ティーチインはチケットもしくは半券提示で観覧可能

 

[プロフィール:五島一浩]

イメージフォーラム映像研究所専任講師。岡山県立大学、長岡造形大学、城西国際大学、明治学院大学非常勤講師。アナログとデジタルの境界、感覚の粒子化をテーマにした映像・インスタレーション作品を制作している。代表作に、コマのない動画カメラシステムの発明と実践「これは映画ではないらしい」(2014)、ハイコントラストCGシリーズ「FADE into WHITE」(1996~2003)。「FADE into WHITE #2」(2000)はイメージフォーラム・フェスティバル2001で大賞を受賞。2020年アーツ千代田3331で初の大規模個展「画家の不在」展を開催。

 

https://www.goshiman.com/hp/01news_j.html

 

https://www.imageforum.co.jp/cinematheque/1055/index.html