展示会というより、見る者を考えさせる展覧会──鈴木マサル「テキスタイルの表と裏〜Looking through the overlays〜」

「テキスタイルの表と裏〜Looking through the overlays〜」7月31日まで

テキスタイルデザイナー、鈴木マサルの展示会「テキスタイルの表と裏〜Looking through the overlays〜」が、東京・西麻布のKarimoku Commons Tokyoで7月31日(月)まで開催中です(日曜定休)。

鈴木は、鮮やかなプリントテキスタイルが特徴。6月には傘のコレクションを発表するなど、テキスタイル製品を数多く手掛け、近年ではファッション、商業空間やギャラリーのインスタレーションも担当しています。そして最近、自身のHPを見直しているうち、小さいもの、かわいいものばかり手掛けていることに気づいたといいます。

「そこで、これまであまり組んだことのない人たちと組むことによって、デザインの文脈として空間の中でテキスタイルを見せていく企画にしたいと考えるようになりました。あまり大きくなくて綺麗な空間はないかと探していたところ、この場所を見つけたのです」

場所は2021年2月にオープンしたばかりのKarimoku Commons Tokyo。帰路に芦沢啓治にメッセージすると、すぐにOKと返事が来たといいます。

布が空間に作用する

本展で鈴木が目指したのは、モノの素材としてのテキスタイルではなく、空間に作用するテキスタイル。新作「表と裏がない」プリントテキスタイルは、一枚の布に両面からプリントすることで、かすれた色面とベタの色面の両方が空間と呼応しています。

「カーテンでもそうですが、空間に布を置くことは、後ろに壁や窓などを背負うことになります。布単体ではなく、“その”空間のためにデザインを施すので、花などのモチーフはありません。空間を動かすために、大胆且つ大柄なデザインを採用しています」

家具や建築とのコラボも

会場デザインは建築家・芦沢啓治が担当。

 

「建築的にシャープにしてほしいとの依頼でした。もともと私は柄や布を使うタイプじゃない」と言いながら、大きな布を空間の中心に配置し「皆さんに考えてほしい」と意図したといいます。ファブリックが自立して存在する什器や、開き戸の収納も造作。

そのほかにも、鈴木がペイントした「石巻工房 by Karimoku」とのコラボ家具があったり、展示コーディネーターの藤本美沙子の依頼により壁面自体にも鈴木がペイントを加えている箇所も。

「完全に建築ですよね。堅いモノに軟らかいものを合わせる可能性。展示会というより展覧会として感じていただけると思います」(芦沢)

 

「テキスタイルの表と裏〜Looking through the overlays〜」は、東京・西麻布のKarimoku Commons Tokyoで7月31日(月)まで開催中。

[開催概要]

「鈴木マサルの展覧会2023テキスタイルの表と裏 Looking through the overlays」

会場:Karimoku Commons Tokyo 東京都港区西麻布2丁目22-5]      

会期:7月1日(土)〜7月31日(月)12:00-18:00 日曜定休