日本オーディオ協会主催「OTOTEN2023」各メーカー、製品試聴からの脱却図る

毎年初夏に開催される、日本オーディオ協会主催のオーディオとホームシアターの祭典「OTOTEN」が6月24日と25日、東京国際フォーラムで開催。多くのブースがある中、注目の企画をピックアップして紹介します。

テクニクス 全面的ライフスタイルオーディオを展開

ブースに入ってすぐの場所には、テレビやBDレコーダー、ターンテーブルとともに、ネットワークオーディオアンプの新製品SU-GX70が鎮座。近年俄に増えてきたHDMI(ARC)端子を搭載した中級2chアンプで、アナログからデジタルまであらゆるソースをひとまとめにしてリビングで聴きましょうという企画意図が伺えました。訪問時のデモでもデジタルからアナログレコードまで様々なソースを横断的に再生、多くのゲストを集めていました。

KEF JAPAN リビングライフ&デザイン志向が前面に

会場内には大型から小型まで、パッシブからアクティブまで豊富なラインナップがずらり。フラグシップMUONをデザインしたロス・ラブグローブデザインのヘッドフォンなど新製品も。訪問時はBlade2をデモ中で担当者の「このクラスを売りたい」という本音も。Blade2はブックシェルフLS50にサブウーファーを付けたようなもので大きな見た目と違ってこぢんまりと独特の球体音場感を味わうのが良くこの広い会場では良さが伝わりにくいかも。

ティアック いまこそCDのメカを前面に

TEACはクリプシュのコンプレッションドライバー搭載スピーカーHeritageシリーズを使って、CDプレーヤー(トランスポート)をデモ。「このタイミングで新開発VRDSメカ採用のモデルを3つ投入するなんてクレイジーだと思われるかも知れません。でも、ディスクを読み込んだらあとはアナログ領域にあるCDというのはシンプルで見直すべきだと思います。とにかくトレーに載せて再生すればいい。ハイエンド向けESOTERICブランドでも、最終的なアナログからノイズ源であるデジタルをいかに追い出すかの闘いでした」と、担当者が力説していました。70周年を迎え、製品ラインナップも多様化するライフスタイルに合わせた提案を見せています。

オーディオテクニカ アナログの楽しみを体験

オーディオテクニカブースでは、サウンドバーガーAT-SB727など新商品を展示したほか、アナログカートリッジの比較試聴を前面に。MCカートリッジ「AT-ART20」「AT-OC9X」「AT-ART9X」、ターンテーブル「AT-LP7」、ケーブル「FLUAT700/500」のデモが私有し行われ、試聴室は常時満員。小野寺弘滋のセミナーは超満員で入れずでした。

dts 30周年の歴史を振り返る

dtsは今年30周年。麻倉怜士の講演を交えながら歴史を振り返りながら、体験中心のイベントとなりました。フロアの中心にはDTSとIMAX Enhancedのデモンストレーション、その両袖にはVirtual:XやHeadphone:Xのデモ機が展開されていました。

FOSTEX USB-DACから自作派まで幅広い年齢層に

フォステクスは発売されたばかりのUSBヘッドフォンDAC、HP-A3mk2から、BearHorn(ベアホーン)の自作バックロードホーン型エンクロージャーに収まったユニットFE108SS-HPまで振り幅の大きい展示で、老若広い層の興味を惹いていました。

SONY 制作から再生まで、360リアリティオーディオ

ソニーは、ブースを2つにわけ、制作側と再生側それぞれの展示を展開。制作側ではソニーの初号機C-37A、70年発売ながら現行品でもあるC-38B、Cー800Gといった歴代定番マイクのほか、C-100をホームユース向けに簡略化した新製品C-80も展示。ヘッドフォンも、定番MDR-CD900STやその海外版MDR-7506から、360リアリティオーディオ制作環境向けのMDR-MV1まで聴き比べが可能。あら探し用のカリカリサウンドCD900STと比べるまでもなくMV1は開放型でふわーっとした音場型、音が遠い印象。その後、再生側のデモを聴くと、最近のソニーが狙っている方向性がワカル仕掛けとなっています。WM-D6とECM-939LTでディズニーランドのスペースマウンテンを録音した学生時代が懐かしい…。

JVC ハイレゾを駆使した商用空間音響デザイン

もっとも興味深かったのはJVC。イヤホン、ヘッドフォンも展示されていましたが、スペースの大半がハイレゾリューション音源を使った空間音響デザインソリューション「KooNe(クーネ)」のデモに割かれていました。屋久島や白神山地などで録音した音源を使い、空間の目立たない場所に複数のスピーカー(この会場では6本、オールチャンネルステレオ)を配置し、専用アンプとPCで再生。人間が自然を好む性質(バイオフィリア)の作用に働きかけることで、音による居心地の良いインテリアを実現していました。パーソナルユースというよりも、オフィスやカフェなどのB to Bユースを想定しているとのことです。

TIASと違った独自色も

例年のOTOTENは国内メーカー主体の製品デモが中心でした。今年は、もう少し広い枠組みでメーカーとしての取り組みを披露しようとするものも多く、また、名古屋芸術大学や学生向けセミナールームなど若者に向けた働きかけも。次世代に向けて「音の社会に向けた可能性」を訴えかけようとする企画意図も垣間見えたのが印象的でした。

 

 

[開催概要]

「OTOTEN:AUDIO&HOME THEATER FESTIVAL 2023」

日程:6月24日(土)~6月25日(日)

会場:東京国際フォーラム ガラス棟全室

主催:一般社団法人 日本オーディオ協会

https://www.jas-audio.or.jp/