塚本晋也監督『ほかげ』、ウィーン国際映画祭でも「公開を熱望する映画」と読者審査員賞

『ほかげ』11月25日全国公開

塚本晋也監督の最新作『ほかげ』が、第61回ウィーン国際映画祭にて 「Standard Readers’ Jury Award」を受賞したことが現地時間10月31日に発表されました。

ウィーン国際映画祭(Vienna International Film Festival)は、オーストリア最大の都市ウィーンで開催される国際映画の祭典。ドイツ語圏では最も歴史があり世界中から選び抜かれた約300作品を取り上げてきました。

 

今回も多くの作品が上映され、日本からは宮崎駿監督『君たちはどう生きるか』、是枝裕和監督『怪物』、濱口竜介監督『悪は存在しない』、井上雄彦監督『The First Slam Dunk』、杉田協士監督『彼方のうた』などが出品されています。

 

このたび『ほかげ』が受賞した「Standard Readers’ Jury Award」は、オーストリアの日刊紙「DER STANDARD」の読者審査員が選出する賞。オーストリア配給が決まっておらず、オーストリア公開をお勧めする作品に贈られるもので、日本人監督、日本映画が受賞するのは今回が初めて。

 

現地時間10月31日の授賞式では、塚本監督から喜びのコメント映像が上映され、大きな拍手と歓声に包まれました。

 

審査員たちからは「塚本晋也監督の『ほかげ』は、戦争の結果が終戦後も影響を及ぼし続ける様子を描き感銘を与え続ける作品。視覚的な言語と生々しい語り口のスタイルは、過酷な雰囲気と主人公たちの閉塞感を見事に伝えています。『ほかげ』は、戦争が未だに終わっていないことを私たちに思い出させます」と絶賛。

 

これに対して塚本監督は次のようにコメントしています。

 

「世界がきな臭くなっていく中、未来の子供たちが、健康で楽しく過ごせるよう祈りを込めて作った作品です。映画は、第二次世界大戦終戦後間もない頃の物語で、闇市と言う違法の店舗の一角を主な舞台にしています。映画の中ではそういう具体的な説明はしていませんので、外国の皆さんにどれくらい理解いただけるか少し心配していましたが、俳優の演技、美術がかもす雰囲気、物語の力で祈りの気持ちが伝わったことを嬉しく思います」

©2023 SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER

塚本晋也監督戦争三部作の最終章

戦場の極限状況で変貌する人間を描いた『野火』(14)、太平の世が揺らぎ始めた幕末を舞台に生と暴力の本質に迫った『斬、』(18)、その流れを汲み、戦争を民衆の目線で描き、戦争に近づく現代の世相に問うのが本作です。

 

主演は、2023年後期NHK連続テレビ小説『ブギウギ』のヒロインに抜擢され、今最も活躍が期待されている俳優、趣里。孤独と喪失を纏いながらも、期せずして出会った戦争孤児との関係にほのかな光を見出す様を、繊細かつ大胆に演じ、戦争に翻弄されたひとりの女を見事に表現しています。

 

片腕が動かない謎の男を演じるのは、映像、舞台、ダンスとジャンルにとらわれない表現者・森山未來。飄々としながらも奥底に蠢く怒りや悲しみを、唯一無二の存在感で示しています。

 

主演の趣里が演じる女と交流を深めていく戦争孤児を、『ラーゲリより愛を込めて』や大河ドラマ「青天を衝け」に出演している子役・塚尾桜雅。一度見たら忘れられないその瞳で物語をより深く豊かに彩ります。

 

復員した若い兵士役に、PFFグランプリ受賞作品『J005311』の監督でもある河野宏紀。さらに、映画監督、俳優としても活躍する利重剛、大森立嗣が脇を固めます。

 

 

『ほかげ』は11月25日(土)よりユーロスペースほかで全国公開。

 

[作品情報]

『ほかげ』

出演:趣里、森山未來 

監督:塚本晋也

製作:海獣シアター 

配給:新日本映画社

2023年/日本/95 分/ビスタ/5.1ch/カラー

©2023 SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER

公式サイト:hokage-movie.com

公式 X:@hokage_movie 

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