「生誕120年 映画監督 中川信夫」5月13日〜7月6日開催
国立映画アーカイブは、中川信夫生誕120周年にちなみ、5月13日から7月6日まで、上映企画「生誕120年 映画監督 中川信夫」を開催します。

中川信夫(1905-1984)は、社会や境遇に囚われず自由でありたいと願う人間の性(さが)とその悲哀を、ユーモアと創意に満ちた演出を通して描き続けた映画監督。本特集は、酒と豆腐をこよなく愛した中川監督の没後に発足した酒豆忌実行委員会と、国際放映株式会社の協力を得て、助監督時代の作品から、テレビ映画を含む計59本を53プログラムに組んだ過去最大規模の回顧特集となります。期間中は、ゲストによるトークイベントも予定されています。


助監督時代の唯一の現存作品『懷古二十五年 草に祈る』(1930)や初のトーキー映画『修羅八荒 終篇』(1936)、戦前の東宝作品、上映の機会が少なかった後期の東映作品、13年ぶりの劇映画であり遺作となった『怪異談 生きてゐる小平次』(1981)など、キャリア全体を見通すプログラムにより、中川信夫の映画人生を回顧します。
さらに、1962年以降、精力的に手がけたテレビ作品も上映します。
『東海道四谷怪談』を含む多数のニュープリント

本特集の3分の1を占める18作品をニュープリントで上映。なかでも『東海道四谷怪談』(1959)のニュープリントは、1990年代以降、ラストの伊右衛門(天知茂)の主観ショット等に欠落していた、画面全体を「赤」に染める現像上の特殊効果を再現し作製したものです。
「怪談映画」イメージの刷新――ジャンルにとらわれない中川作 品の魅力
エノケンと組んだ喜劇映画や歌謡映画(『馬車物語』、『高原の駅よさよなら』、『さすらいの旅路』)、時代劇(『當り矢金八捕物帖 千里の虎』、『若さま侍捕物帖 謎の能面屋敷』、『人形佐七捕物帳』シリーズ、『番場の忠太郎』)、文芸映画(『虞美人草』、『草を刈る娘[思春の泉 改題]』、『若き日の啄木 雲は天才である』)、社会派ドラマ(『私刑(リンチ)』『青ヶ島の子供たち 女教師の記録』)など、「怪談映画の巨匠」という既存のイメージには到底収まらない、多種多様で娯楽性に満ちた中川信夫の作品世界を堪能できます。



上映作品(53プログラム、計59作品)
1. 『懷古二十五年 草に祈る』(1930、三上良二)
『修羅八荒 第二篇』(1936、久保爲義)※参考上映
『修羅八荒 終篇』(1936、中川信夫)
2. 『日本一の岡っ引』(1938)★
『伊太八縞』(1938)★
3. 『エノケンの頑張り戰術』(1939)
4. 『新篇 丹下左膳 隻眼の巻』(1939)
5. 『金語樓のむすめ物語』(1940)★
6. 『エノケンの譽れの土俵入』(1940)★
7. 『虞美人草』(1941)
8. 『馬車物語』(1948)★
9. 『エノケンのとび助冒險旅行』(1949)
10. 『私刑(リンチ)』(1949)
11. 『當り矢金八捕物帖 千里の虎』(1950)
12. 『若さま侍捕物帖 謎の能面屋敷』(1950)
13. 『疾風鬼姫街道[鬼姫しぐれ 改題短縮版]』(1951)
14. 『高原の駅よさようなら』(1951)
15. 『さすらいの旅路』(1951)
16. 『犬姫様』(1952)
17. 『金さん捕物帖 謎の人形師』(1953)★
18. 『草を刈る娘[思春の泉 改題]』(1953)
19. 『若き日の啄木 雲は天才である』(1954)
20. 『石中先生行狀記 青春無銭旅行』(1954)
21. 『番場の忠太郎』(1955)
22. 『青ヶ島の子供たち 女教師の記録』(1955)
23. 『人形佐七捕物帳 妖艶六死美人』(1956)
24. 『人形佐七捕物帖 大江戸の丑満刻』(1957)
25. 『怪談かさねが渕[怪談累が渕 改題]』(1957)
26. 『ひばりが丘の対決』(1957)
27. 『将軍家光と天下の彦左』(1957)
28. 『毒婦高橋お伝』(1958)
29. 『亡霊怪猫屋敷』(1958)
30. 『憲兵と幽霊』(1958)
31. 『俠艶小判鮫』(1958)★
『続 俠艶小判鮫』(1958)★
32. 『女吸血鬼』(1959)
33. 『影法師捕物帖』(1959)
34. 『東海道四谷怪談』(1959)★
35. 『雷電』(1959)
『続 雷電』(1959)
36. 『女死刑囚の脱獄』(1960)
37. 『地獄』(1960)
38. 『旗本喧嘩鷹』(1961)★
39. 『かあちゃん』(1961)
40. 『八百万石に挑む男』(1961)
41. 『旗本退屈男 謎の珊瑚屋敷』(1962)★
42. 『悲しみはいつも母に』(1962)★
43. 『まぼろし天狗』(1962)★
44. 『紀州の暴れん坊』(1962)★
45. 『稲妻峠の決斗』(1962)★
46. 『日本殘酷物語』(1963、中川信夫、小森白、高橋典)
47. 『男の嵐』(1958)
48. 『コメットさん 第20話「オモチャの反乱」』(1967)
『無宿侍 第5話「傀儡人形の草笛」』(1973)
49. 『怪談 蛇女』(1968)★
50. 『さくら盃 義兄弟』(1969)★
51. 『妖艶毒婦伝 人斬りお勝』(1969)
52. 『妖艶毒婦伝 お勝兇状旅』(1969)★
53. 『怪異談 生きてゐる小平次』(1982)
★があるものはニュープリント上映
[開催概要]
「生誕120年 映画監督 中川信夫」
(英題:Nobuo Nakagawa Retrospective)
会期:2025年5月13日(火)-7月6日(日) ※月曜休館
会場:国立映画アーカイブ 長瀬記念ホール OZU[2階]
主催:国立映画アーカイブ
協力:酒豆忌実行委員会、国際放映株式会社
HP:https://www.nfaj.go.jp/film-program/nobuo-nakagawa20250
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問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
チケット詳細はHPをご確認ください。
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