『ポンヌフの恋人』4K化!ビノシュが水上スキーに挑む伝説的なティザー映像公開

『ポンヌフの恋人』4Kリマスター12月20日公開

レオス・カラックス監督最大のヒット作『ポンヌフの恋人』が4Kリマスターで12月20 日よりユーロスペースほか劇場公開決定!このたび、ジュリエット・ビノシュがセーヌ川で水上スキーに挑んだ伝説的なシーンのティザー動画とシーン写真 1点が公開されました。

公開されたティザー動画は、カラックスが試写室でスピルバーグらに見せたシーンのひとつ。革命記念日の夜セーヌ川の両岸から滝のように花火が流れる中、盗んだボートをアレックスが操縦し、ミシェルが水上スキーで疾走する圧巻の場面です。

 

水が凍える 11 月の夜、失敗すれば大金が消えてしまうプレッシャーと転倒の恐怖を抱きながら、ビノシュはスタントなしで自らこのシーンに挑みました。ほとばしる映像と音のスペクタクル。。パリのポンヌフ橋で疾走する、孤独なふたりの究極の愛の一端が、映画完成に向けて潮流を変えたのです。

 

またシーン写真は、革命記念日の花火が上がる中、アレックスとミシェルがポンヌフで狂ったように踊り、もつれあい、もたれあいながらふたりで乱舞する、情熱的で燦々たる名シーンです。

“呪われた映画”

本4Kレストア版はカラックスの協力のもとオリジナル35mmネガからデジタルレストア、撮影監督キャロリーヌ・シャンプティエが修復と色彩補正を監修、トマ・ゴデールが音響を担当しています。

 

大ヒットとなった『ポンヌフの恋人』ですが、その製作は簡単なものではありませんでした。パリ市からポンヌフ橋を借り切って撮影に入る直前、主演のドニ・ラヴァンの思わぬケガで撮影中止に。再度の許可は下りず、夜間シーン用だったモンプリエ郊外ランサルグのセットをフランス映画史上最大のオープンセットにしてポンヌフ橋を再現。しかし底なしの資材と長期の人件費で2つのプロダクションが破産、製作は中断し強風でセットも倒壊、製作費は膨らみ続け、混迷を深める状況をマスコミがスキャンダラスに書き立て、「呪われた映画」とまで呼ばれました。

 

先行きが危ぶまれる中、カラックスは『ポンヌフの恋人』が完成させるに値する映画だと証明するため、映画監督のスティーブン・スピルバーグやフィリップ・ガレルら映画監督や文化人を試写室に呼び、未編集のフィルムを上映。スティーブン・スピルバーグは後に「この映画には激しさや美しさ、想像力があふれている!」と称賛。他にもラッシュを見て感動した参加者から映画の完成を望む多くの声が寄せられました。

 

最終的に『カミーユ・クローデル』などで知られた大物プロデューサー、クリスチャン・フェシュネール(1944-2008)が製作を引き受け、日本からもカラックスの友人・堀越謙三(ユーロスペース代表、1945-2025)が出資し映画は完成するも、製作費はセットだけで 6 億近く、合計 30 億円を超えました。

失意のもと出会ったふたりの運命は?

天涯孤独で不眠症の大道芸人アレックス(ドニ・ラヴァン)と失恋の痛手と眼の奇病による失明の危機で家出した画学生ミシェル(ジュリエット・ビノシュ)。ホームレスとなった二人は、パリの最も古い橋ポンヌフで出会います。

 

愛を告白できないアレックス、過去の初恋に生きるミシェル。カラックスが見つめる二人の感情の軌跡は、失意と闇からはじまり、息もつかせぬスビードで希望と生命へと疾走し、回転して…。

 

『ポンヌフの恋人』4Kリマスターは、12月20 日よりユーロスペースほか劇場公開。

 

[作品情報]

『ポンヌフの恋人』

原題:Les Amants du Pont-Neuf

監督・脚本:レオス・カラックス

撮影:ジャン=イヴ・エスコフィエ

出演:ジュリエット・ビノシュ、ドニ・ラヴァン

1991年/フランス映画/カラー/125分/DCP

配給:ユーロスペース