“集う場所”の概念を覆す、イマドキのパーソナル・ソファ── 藤森泰司Calissonカリソン

arti、南麻布ショールームで「Calisson Exhibition」を開催

高品位なコントラクト向け家具を展開するarti(アルティ)は、藤森泰司のデザインによるソファシステム「Calisson(カリソン)」を2022年10月に発表。それを記念し、東京・南麻布のショールームで「Calisson Exhibition」を開催しました。

Calissonの名前の由来は、フランスのプロヴァンス地方にある伝統的な菱形のお菓子に由来します。たしかにその座面はそれをイメージさせます。

 

コーナーや片アームを使用せず90°方向に繋げることができ、3種類のソファタイプ、2種類のベンチタイプを組み合わせることで、様々な環境に対応する居場所を作ることができます。なお、サイズは特注も可能とのこと。

概念的で凝った内部構造に驚愕

軽快な見た目とは裏腹に、実は座面は重厚でがっちりした作り。フラットなフレームの座面にはポケットコイルがズラリと並べられており、ウレタンのソファとは違った沈み込みがあります。あえてコイルにしたワケは、複数で腰掛けたとき互いに振動を与えないところ。

 

また、背もたれにも藤森さんのこだわりが。櫛状のスリット加工が施され、しなりのあるたわみを実現しています。

イマドキのパーソナル空間を意識させる“人が集う場所”の概念

実際に座ってみると、座面も背も跳ね返りが強く、一般のソファがイメージする“包み込む”イメージとは一線を画します。想定するに、家族が団らんするというよりも、ひとところに集まりながらもそれぞれが本を読んだり、タブレット端末を操作したり、テレビを見たりと違うことをして過ごし、ときどき移動しては会話を楽しむ──そんなイマドキのパーソナル空間をイメージさせます。

「すべての問題をシステム内で解決しようとすることではなく、その逆です」とは藤森さん。“人が集う場所”が多様化した現代で、シンプルな機能を使い手が都度活用するための材料を与えるという手法は、一点ものとしての潔い家具とは違った魅力を湛えています。

 

(取材・写真・文:遠藤)

[会場]

artiショールーム

東京都港区南麻布4-11-30 南麻布渋谷ビル1F    03-5449-2501

 

https://www.calisson-arti.com/